“やわら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
40.5%
30.2%
13.7%
柔術12.2%
1.1%
柔道0.8%
土軟0.4%
柔和0.4%
柔軟0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
尉官は腕をこまぬきて、こもまたやわらぎたるていあらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼と眼を見合せしが、遂に良人まずびたる声にて
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
クリームの色はちょっとやわらかだが、少し重苦しい。ジェリは、一目いちもく宝石のように見えるが、ぶるぶるふるえて、羊羹ほどの重味がない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高い土塀どべいと深い植込とに電車の響もおのずと遠い嵐のようにやわらげられてしまうこのの茶室に、自分は折曲げて坐る足の痛さをもいとわず
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「小具足腰の廻わり」も必要であり「捕手」「柔術やわら」も大切であった。「強法術」は更に大事、「手裏剣」の術も要ありとされた。
五右衛門と新左 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
落葉松からまつの畠も見えた。その苗は草のようにやわらかで、日をうけて美しくかがやいていた。畠の周囲まわりには地梨も多い。黄に熟したやつは草の中に隠れていても、直ぐと私達の眼についた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
柔道やわら寝業ねわざというものがあって、これにかかると練達の士でも意外に不覚を取るものである。剣道の外伝にも寝業はある。同じく迂濶にかかろうものなら、同じく不覚を取るものであった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
苦笑しながら、掘りたての土軟やわらかな床へ、刀を突きさし、ひだり手で腰のあたりをさすろうとした時……今あの、タ、丹下左膳ではないか、ひさしぶりだナ、その後は御無沙汰、という声がしたのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
柔和やわらかなちっとも気取きどりっけのない四十ぐらいな——後で聞くと主人だそうで——質素な男が出迎えて、揉手もみでをしながら、御逗留ごとうりゅうか、それともちょっと御入浴で、といた時、客が、一晩お世話に
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は誰とも親しくなれる質の柔軟やわらかな心をもつてゐた。
老苦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
一本のマングローブの下で、果ものを主食の朝餐ちょうさんが進行した。レモンの汁をかけたパパイヤの果肉は、乳の香がやや酸㾱さんぱいした孩児あかごほおに触れるような、やわらかさとにおいがあった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)