“粛”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
しゅく63.4%
しめ9.8%
つつ4.9%
おごそ2.4%
おごそか2.4%
2.4%
2.4%
しずか2.4%
しめや2.4%
しゆく2.4%
つゝ2.4%
シュク2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しゅくと泣いた。けれどたれも彼を恨みには思わなかった。みなひじをまげて顔をおおった。そしてはっとその顔をまた何かにました……。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凡てが柔かくしめやかに、さうして澄みかかつて来た。その中に立つ栗の木の幸福な愛、さうしてその祈念、野生の儘の浄化。
同じ烏帽子、紫の紐を深く、袖を並べて面伏おもぶせそうな、多一は浅葱紗あさぎしゃ素袍すおう着て、白衣びゃくえの袖をつつましやかに、膝に両手を差置いた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おごそかに心を潜めて思う真心の価値は、其を表現する言葉の差で違うべきものではございますまい。
C先生への手紙 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
鬚深ひげふか横面よこづら貼薬はりくすりしたる荒尾譲介あらおじようすけは既にあを酔醒ゑひさめて、煌々こうこうたる空気ラムプの前に襞襀ひだもあらぬはかまひざ丈六じようろくに組みて、接待莨せつたいたばこの葉巻をくゆしつつ意気おごそかに、打萎うちしをれたる宮と熊の敷皮をななめに差向ひたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
尉官は腕をこまぬきて、こもまたやわらぎたるていあらず、ほとんど五分時ばかりの間、互に眼と眼を見合せしが、遂に良人まずびたる声にて
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その冴え冴えと振りかざ白無垢衣しろむくえの、しわの折れ方までが、わけもなく魂を織り込もうとするのに魅せられるであろう、水を打ったようにんみりとした街道の樹もふるえ、田の面の水も
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
先達せんだつの女房に、片手、手をかれて登場。姿をしずかに、深く差俯向さしうつむき、面影やややつれたれども、さまで悪怯わるびれざる態度、おもむろに廻廊を進みて、床を上段に昇る。昇る時も、裾捌すそさばしずかなり。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
片袖を掛けてわがせないだきておおいながら、顔さしのぞさまして、なおしめやかにぞ語れる。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ね飛ばされて不二は一たび揺曳えうえいし、二たびは青木の林に落ちて、影に吸収せられ、地に消化せられ、忽焉こつえんとして見えずなりぬ、満野まんやしゆくとして秋の気をめ、騎客きかく草間に出没すれども
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
と言つてつゝましやかに一寸笑つてみせた。
先ず鞭声シュク々時代と云えば云える。東洋的大和魂がまだ吾々の心の片隅に下宿していたと云っていいかも知れない。
油絵新技法 (新字新仮名) / 小出楢重(著)