“静粛”のいろいろな読み方と例文
旧字:靜肅
読み方割合
せいしゅく72.4%
しずか6.9%
しとやか6.9%
しん3.4%
じっ3.4%
ぢつ3.4%
ひつそり3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その軍隊ぐんたいはきわめて静粛せいしゅくこえひとつたてません。やがて老人ろうじんまえとおるときに、青年せいねん黙礼もくれいをして、ばらのはなをかいだのでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
「たしかに打たれました。けれど春子様、朝田は何時も静粛しずかで酒も何にも呑まないで、少しも理窟を申しませんからお互に幸福しあわせですよ。」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
お延の彼に対する平生の素振そぶりから推して見ると、この類測に満更まんざらな無理はなかった。彼は不用意の際に、突然としてしかも静粛しとやかに自分を驚ろかしに這入はいって来るお延の笑顔さえ想像した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敷石のぱっとあかるい、静粛しんとしながらかすかなように、三味線さみせんが、チラチラ水の上を流れて聞える、一軒大構おおがまえの料理店の前を通って、三つ四つ軒燈籠の影に送られ、御神燈の灯に迎えられつつ
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
能登守は静粛じっとして聞いていたけれども、座中にはもう聞くに堪えない者が多くなって、雲行きが穏かでないのを、太田筑前守が、この時になってようやく調停がましき口を利き出しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一刻も早く解決したいとあせつて車の上で静粛ぢつとして居るのが堪へ切れぬ様になつた。
「おい、何だつて、そんなに静粛ひつそりしてるんだい。僕は先刻さつきから君がやつて来るのを見てたんぢやないか。すると今地面ぢべたかゞんだね。君を撃つと言やしまいし、僕はバヴアリヤ生れだよ。」