“静謐”のいろいろな読み方と例文
旧字:靜謐
読み方割合
せいひつ90.6%
セイヒツ3.8%
しじま1.9%
しず1.9%
しずか1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
恋の灼熱が通って、徳の調和に——さらに湖のような英知と、青空のような静謐せいひつとに向かって行くことは最も望ましい恋の上昇である。
女性の諸問題 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
丑刻ウシに、静謐セイヒツの頂上に達したウツは、其が過ぎると共に、俄かに物音が起る。月の、空を行く音すら聞えさうだつた四方の山々の上に、まづ木の葉が音もなくうごき出した。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
民家の群れは月光を浴びて、いやがうへにも白々と輝やき、低い壁が闇のなかに一際くつきりと浮かび出る。歌声も杜絶え、すべてが寂とした静謐しじまにかへる。
真夜中をすぎた頃おいらしく、静謐しずけさのさなかで生きもののような月の息づかいが手にとるように聞え、大豆や玉蜀黍とうもろこしの葉っぱが、ひときわ青く透かされた。
蕎麦の花の頃 (新字新仮名) / 李孝石(著)
が、それは地上ちじょう人間界にんげんかいのことで、こちらの世界せかいいたって静謐しずかなものじゃ。わし一人ひとりでそなたをあのおみや案内あんないすればそれでことむので……。まァこれまでの修行場しゅぎょうば引越ひっこしと格別かくべつ相違そういもない……。