“しじま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シジマ
語句割合
静寂45.6%
沈黙23.7%
沈默6.1%
寂寞5.3%
無言4.4%
2.6%
靜寂2.6%
緘黙1.8%
静寂間1.8%
寂莫0.9%
寂間0.9%
寂黙0.9%
緘黙行0.9%
進起0.9%
閑寂間0.9%
静謐0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それが朝の静寂しじまを作る色んな物音をピョッピョッピョッピョッと超越し威嚇しつつ、市街らしい辻々をあっちへ曲り、こっちに折れつつ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
落ち着いた夜の沈黙しじまが、六甲山脈の波濤に迫るとき、生きとし生けるものすべては、始めて静けさの中に蘇えるのであった。
六甲山上の夏 (新字新仮名) / 九条武子(著)
ふりつもる「時」の沈默しじまにうづもれてゆる昨日きのふよ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
非常を報ずる鉄斎道場の警板があけぼのの里の寂寞しじまを破って、トウ! トトトトウッ! と鳴りひびいた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
刻んだ菜や、水を与えられると、籠の目を透くレモン色の小さい姿が激しく動くのが見え、田舎家の午前の無言しじまの静けさは銀の蚤でもすように急に品よく可愛らしくざわめき立ちました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
○御茶の水橋下流に至るまでの間は、扇頭の小景には過ぎざれども、しかもまた岸高く水しじまりて、樹木鬱蒼、幽邃ゆうすい閑雅の佳趣なきにあらず。往時むかし聖堂文人によりて茗渓めいけいと呼ばれたるは即ち此地ここなり。
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
靜寂しじまを、つきしろの影青かげあを
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
だが、山は、たちまち一時の騒擾そうじょうから、元の緘黙しじまに戻ってしまった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
この、ものしずかなお澄が、あわただしく言葉を投げて立った、と思うと、どかどかどかと階子段はしごだんを踏立てて、かかる夜陰をはばからぬ、音が静寂間しじま湧上わきあがった。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
酷薄の、これな寂莫しじまにほとぶなり……
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
そして私は苛々としてその寂間しじまを待つのであつたが、生憎このあたりは奇峭な岩ばかりの渚で、その間を縫ふて引き寄せる波が、恰も人の囁きにも似るかのやうに一勢に小石を転がし
若い漁師は寒そうに首をすくめて、覚えずこう呟こうとして、そのまま口を噤んでしまった。少しでも声を立てて深い寂黙しじまを破るのが、何だか気味悪く感じられたのだ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
此は勿論、貴族の家庭では、出来ぬおきてになって居た。なっては居ても、物珍ものめでする盛りの若人たちには、口をふさいで緘黙行しじまを守ることは、死ぬよりもつらいぎょうであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
かれ匍匐はひ進起しじまひて、庭中に跪ける時に、水潦にはたづみ二五腰に至りき。その臣、あかひも著けたる青摺あをずりきぬ二六たりければ、水潦紅き紐に觸りて、青みなあけになりぬ。
……これを見ると、うらやましいか、おけの蔭から、むくと起きて、脚をひろげて、もう一匹よちよちと、同じような小狗こいぬは出て来ても、村の閑寂間しじまか、棒切ぼうきれ持った小児こどもも居ない。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
民家の群れは月光を浴びて、いやがうへにも白々と輝やき、低い壁が闇のなかに一際くつきりと浮かび出る。歌声も杜絶え、すべてが寂とした静謐しじまにかへる。