“匍匐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほふく47.8%
はらば18.8%
はらばい5.8%
5.8%
はひ5.8%
はらばひ2.9%
ハヒ2.9%
はっ1.4%
はひつくば1.4%
はへ1.4%
はらんばい1.4%
ほうふく1.4%
よつんばい1.4%
ハラバ1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たまたま門前に一人の跛者があって、毎日匍匐ほふくして参詣さんけいし、「ドウゾ神様、この足をなおして下され」と一心をこめて祈願している。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
勅使をさえかしこがりて匍匐はらばいおろがむ彼をして、一たび二重橋下に鳳輦ほうれんを拝するを得せしめざりしは返すがえすも遺憾いかんのことなり。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
入違いに二人の男、どかどかと上込あがりこみ、いきなり一人が匍匐はらばいになれば、一人はあごを膝に載せてすねを抱え、「ねえ、おい素敵に草臥くたびれたな。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにその言を奇しと思ほして、そのまさに産みますを伺見かきまみたまへば、八尋鰐になりて、匍匐ひもこよひき。すなはち見驚き畏みて、遁げ退きたまひき。
今その小屋をみれば木のえだ、山さゝ、枯草かれくさなど取りあつめ、ふぢかつらにて匍匐はひ入るばかりに作りたるは、野非人のひにんのをるべきさまなり。
うしろいた腰掛臺こしかけだいうへに、一人ひとり匍匐はらばひになつて、ひぢつて長々なが/\び、一人ひとりよこざまに手枕てまくらして股引もゝひき穿いたあしかゞめて、天窓あたまをくツつけつて大工だいくそべつてる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
隠士ヨステビト(?)も、市の大路に匍匐ハヒならび、をろがみ奉る 雲の上人
橘曙覧 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
人ならば匍匐はって這入れる様に成って居るから或いは誰か這入ったかも知れぬ、併し下から見た所では天井に血のしみはない、多分は画板の間からでも、ほとばしったので有ろう
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
外には女将が乗りつけて来た男爵お待受けの自動車が、雨上りの道へのつそり匍匐はひつくばつてゐる。二人の男はお茶代をはじいてゐる女将の腹を見透みすかしたやうに、四五銭がとこ顔をゆがめて、一寸笑顔を見せた。
あゝ匍匐はへ六尺ろくしやく
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「誰だい。」といった藤兵衛とうべえは、匍匐はらんばいになって、胸の下に京伝の読本よみほんが一冊、悠々と真鍮環しんちゅうわの目金を取って、読み懸けた本の上に置きながら、頬杖ほおづえを突いたままで、皺面しわづらをぬっ!
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あだか四肢ししを以て匍匐ほうふくする所の四足獣にくわりたるのおもひなし、悠然いうぜん坦途たんとあゆむが如く、行々山水の絶佳ぜつくわしやうし、或は耶馬渓やまけいおよばざるの佳境かけうぎ、或は妙義山めうぎざんも三舎をくるの険所けんしよ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
と云って探らずには居られぬから、今は自狂やけの様で、前へ進み出で、右に左に探るうち今度は更に今の怪しい生物に探り当てた。何だか匍匐よつんばいに這って居る様子だが獣物でなく、人の様だ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
爾に、伊邪那岐ノリ給わく、ウツクしき我が那邇妹ナニモの命や、子の一木ヒトツキに易えつるかもと詔給いて、御枕方ミマクラベ匍匐ハラバい、御足方ミアトベに匍匐いて、哭給う。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)