“悠然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆうぜん58.1%
いうぜん20.0%
ゆつくり5.7%
ゆつたり4.8%
ゆっくり2.9%
ゆったり1.9%
いう/\1.0%
のつそり1.0%
やおら1.0%
ゆうぜんとして1.0%
ゆう/\1.0%
ゆっく1.0%
ゆらり1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし、持彦は悠然(ゆうぜん)として水をあび、そしてみそぎの行いを済(すま)したのである。それを見澄(みすま)した上の官人は小気味宜(こきみよ)げに嗤(わら)っていった。
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
其船頭(そのせんどう)は悠然(いうぜん)として、片手(かたて)で艫(ろ)を繰(あやつ)りはじめながら、片手(かたて)で其(そ)の水(みづ)を飮(の)む時(とき)、白鷺(しらさぎ)の一羽(いちは)が舞(ま)ひながら下(お)りて、舳(みよし)に留(と)まつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
愛(あい)ちやんは他(ほか)に別段(べつだん)用事(ようじ)もなかつたので、大方(おほかた)終(しま)ひには何(なに)か良(い)い事(こと)を話(はな)して呉(く)れるだらうと思(おも)つて悠然(ゆつくり)待(ま)つてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と菊池君は吃る樣に答へて、變な笑ひを浮べ乍ら、ヂロヂロ一座を見𢌞したが、私とは斜に一番遠い、末席の空席に悠然(ゆつたり)と胡坐(あぐら)をかく。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
少し悠然(ゆっくり)と落付いて話込んでいましたが、その家を辞する頃は、もう人の顔が見分られないほどに、夕闇が迫って居りました。
耳香水 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
あわてていたが悠然(ゆったり)した態度(ものごし)で。——併し最早そのときには前後左右から若い消防手の、声を殺そうとする笑いが彼を取り捲いていた。清次郎は真っ赤な顔で苦虫を噛み潰(つぶ)していた。
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
止(とゞ)めの一刀を刺貫(さしとほ)し脆(もろ)い奴だと重四郎は彼の荷物(にもつ)を斷落(きりおと)して荷(に)の中(うち)より四五百兩の金子を奪ひ取つゝ其儘(そのまゝ)此所を悠然(いう/\)と立去り頓(やが)て旅支度(たびじたく)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老優は上着を着終るのも待たず白襯衣(ブランシユシユミイズ)の上へ袴(パンタロン)を穿(は)いた儘(まゝ)、ロダンの彫像が動き出した様な悠然(のつそり)した老躯を進めて、嵐の海の様に白い大きな二つの僻(ひが)ら目で見下(おろ)しながら
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
彼は悠然(やおら)立って着衣(きもの)の前を丁寧に合わして、床(とこ)に放棄(ほう)ってあった鳥打ち帽を取るや、すたこらと梯子段(はしごだん)を下(お)りた。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
うれしい事に東洋の詩歌(しいか)はそこを解脱(げだつ)したのがある。採菊(きくをとる)東籬下(とうりのもと)、悠然(ゆうぜんとして)見南山(なんざんをみる)。ただそれぎりの裏(うち)に暑苦しい世の中をまるで忘れた光景が出てくる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
梅が香薫る窓の外をながめて讀むとも見えぬ與之助が傍に、炭がちの火のうそ寒き火鉢をかき起しつゝ、自から持ち來し座蒲團に悠然(ゆう/\)と坐をかまへて、物いひたき景色は、例の夫れなるべしと
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゲーテの言葉に、「急ぐなかれ休むなかれ」と、この言葉を守って、大きく悠然(ゆっく)り学問する癖を附けなければいかぬ。でなければ日本の小国民がいよいよ小国民になってしまう。
今世風の教育 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
と唐突(だしぬけ)に襖(ふすま)を開け、貴婦人、令嬢、列席の大一座、燈火の光、衣服の文(あや)、光彩燦爛(さんらん)たる中へ、着流(きながし)に白縮緬(しろちりめん)のへこおびという無雑作なる扮装(いでたち)にて、目まじろきもせで悠然(ゆらり)と通る、白髪天窓(しらがあたま)の老紳士
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)