“いうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悠然50.0%
友染26.2%
友禪7.1%
友禅7.1%
友仙2.4%
悒然2.4%
油然2.4%
黝然2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
伊庭はさう云つて、悠然いうぜんと、机の前に戻つた。老人は困つたやうな様子だつた。伊庭はすかさず、台帳を老人の前に差し出した。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
娘さんの箪笥たんすが幾つも並んで焼けた所には、友染いうぜんの着物が、模様をそつくり濃淡で見せた灰になつて居たのが、幾重ねもあつたとか人は云ひました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
しなに女連をんなれんのこれが問題もんだいになつた。ガラスをとほして、ふすまが松葉越まつばごしにそとからえよう。友禪いうぜんいたとりのやうだ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
晶子はレエニ夫人に日本の扇や友禅いうぜんを捧げた。夫人もまた有名な詩人である。氏は夫人が近年病気がちである事を話して、日晶子を招待せうだいして夫人に引合ひきあはさうと云はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
友仙いうぜんおびぢりめんのおびあげも人手ひとでりずにばしこくめたる姿すがた不圖ふとたるには此樣このやう病人びやうにんともおもるまじきうつくしさ、兩親ふたおや見返みかへりて今更いまさらなみだぐみぬ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
官邸の玄関にしつらえられた桟敷の上に、モナコやモロッロの王様と並んで、何時の年の巴里祭に見ても、常に悒然いうぜんたる面持で佇んでいる
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
どこに来た……これを低吟すると四歳と三歳の二児を育てるに苦労した時分の当時の姿が思ひ出されて油然いうぜんたる悲哀が胸にこみあげて来る——お手々つないで野道をゆけば……山のお寺の鐘が鳴る
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
しかはあれど、わが満心の自覚を一揮直抒いつきちよくじよの筆に附して、く其の駭絶の意識の、黝然いうぜんたる光の穂末をだに伝へ得ざる乎、そのかすかなる香気かをりをだにほのめかし得ざる乎。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)