友禅いうぜん)” の例文
旧字:友禪
香水河と云つたユヱ河に添つた遊歩道には、カンナや鉄線花が友禅いうぜんのやうに華やかだつた。椰子やし檳榔びんらう、ハシドイが到る処に茂つてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
晶子はレエニ夫人に日本の扇や友禅いうぜんを捧げた。夫人もまた有名な詩人である。氏は夫人が近年病気がちである事を話して、日晶子を招待せうだいして夫人に引合ひきあはさうと云はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
いつの間にか俺は友禅いうぜんの座蒲団の上に坐るやうになつた。軽井沢へ別荘も立てた。日本食と洋食と別別に料理番も置いた。置酒高会ちしゆかうくわいもする。俺の生活費は段段かさんでくる。
畜生道 (新字旧仮名) / 平出修(著)