“ゆうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悠然32.4%
友禅23.9%
油然17.0%
友染14.4%
湧然4.3%
有髯2.1%
友仙1.6%
翛然1.6%
友褝0.5%
幽禅0.5%
悒然0.5%
猷全0.5%
雄禅0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
外部からしめた障子へ、手探りながら筆太に何かすらすらとしたため終わると、里好は女を促して悠然ゆうぜんとめっかち長屋をあとにした。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふと見ると、屏風の蔭に、友禅ゆうぜん小蒲団こぶとんをかけて、枕元に朱羅宇しゅらおのきせるを寄せ、黒八を掛けた丹前にくるまッていた男がある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鏡葉之助は小屋の前にやや暫時しばらく立っていた。不思議にも彼の心の中へ、何んとも云われない懐かしの情が、油然ゆうぜんとして湧いて来た。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
のみならず友染ゆうぜんとか、繻珍しゅちんとか、ぱっとした色気のものに包まっているから、横から見ても縦から見ても派出はでである立派である、春景色はるげしきである。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それとともにお艶に対する新しい憐憫が湧然ゆうぜんとこころをひたして、眼頭おのずから熱しきたるのを禁じ得なかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
昔時、向象賢や蔡温を悩ましたところの沖縄婦人は、他日、女子問題をひっさげて有髯ゆうぜん男子をして顔色なからしむるような活動をやるかもしれませぬ。
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
田舎芸者の出稼ぎである二十あまりの白粉おしろいをぬった法界節屋ほうかいぶしやが、お煙草盆に、これまたまっ白にぬり立て、メリンス友仙ゆうぜん単衣ひとえを着せた三人ばかりの女の子を引率し、宿の前へ流して来たのも
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
蒼白あおじろ面高おもだかけずせる彼の顔と、無辺際むへんざいに浮き出す薄き雲の翛然ゆうぜんと消えて入る大いなる天上界てんじょうかいの間には、一塵の眼をさえぎるものもない。反吐は地面の上へ吐くものである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
留守のうち老婆が掃除をしたと見え、鏡台の鏡にも友褝ゆうぜんきれが掛けられ、六畳のにはもう夜具が敷きのべてあった。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
電信局の横手からかけて来た車に、芸妓げいしゃ箱丁はこや合乗あいのりして居るその芸妓が小歌らしいので、我知らず跡逐駈おっかけるとその車は裏河岸うらがしの四五間目で停って、小歌と思ったのは夜目にも紅い幽禅ゆうぜんたもと
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ふた側の垣根の暗が悒然ゆうぜんと覆うているかげを、童子はすたすた歩いていた。電燈は曇ってひかり沈んでいた、と、黒いかげがだんだんに遠のいてゆくのである。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「たいへんです。いよいよ物険ものけわしく見えまする。護正院ノ僧都そうず猷全ゆうぜんそのほか、一ノ木戸の者どもこぞッて、六波羅方へ降参に出たとやら沙汰しております」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冬至の夜枕山は安積艮斎あさかごんさい雄禅ゆうぜん禅師の二人と共に目白台に住した書家藤田惇斎ふじたとんさいの家に招がれた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)