有髯ゆうぜん)” の例文
ロンのパリ音楽院の教授としての声名もすばらしいが、その演奏家としての腕前も、有髯ゆうぜん男子を瞠若どうじゃくたらしめるものがある。
昔時、向象賢や蔡温を悩ましたところの沖縄婦人は、他日、女子問題をひっさげて有髯ゆうぜん男子をして顔色なからしむるような活動をやるかもしれませぬ。
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
彼の眼は、受令的に、船橋を彷徨ほうこうしたが、何も見つけえなかった。二人の婦人は、彼が有髯ゆうぜんのかんかん虫であったと気づくと、きたない物のそばを離れるように退いた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この会場にるものは、位ある有髯ゆうぜん男子も脱帽して恭敬の意を表せざるべからざるに、かれは何者、肩掛ショオルかつぎ、頭巾目深に面を包みて、顔容かおかたちは見えざれども、目はひややかに人を射て
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
有髯ゆうぜん男子に一歩も譲るものではないが、芸術的完成においては、なお充分の若さを残し、将来の巨大な進歩を暗示していることは言うまでもない。