“ゆつくり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悠然35.3%
悠乎11.8%
寛緩5.9%
寛々5.9%
寛裕5.9%
悠々乎5.9%
5.9%
緩々5.9%
緩慢5.9%
緩然5.9%
裕然5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
勘次かんじおほはれたやうで心細こゝろぼそきりなかに、其麽そんなことでいちじるしく延長えんちやうされた水路すゐろ辿たどつてながら、悠然ゆつくりとしてにぶさをてやうをするのにこゝろ焦慮あせらせて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『然うかえ、でもマア悠乎ゆつくりやすんでれば可かつたのに、御苦労でしたな。』
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
地面を広く取つてその中に風流な田舎家ゐなかやを造るです。食物などは東京から取寄せて、それでなくては実は保養には成らん。家が出来てから寛緩ゆつくり遊びに来るです
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それではお前も承知をしてくれるな。それで私も多きに安心した。くはしい事はいづれ又寛緩ゆつくり話を為やう。さうしてお前の頼も聴かうから、まあ能く種々いろいろ考へて置くがいの」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それぢやその新聞が違つてゐるのだよ。阿父さんは先之さつき病院へ見舞にお出掛だから、間も無くお帰来かへりだらう。まあ寛々ゆつくりしておいでな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何卒寛裕ゆつくりして下ださいナ、其れに御遠方なんだから、此の寒い夜中にお帰りなさるわけにはなりませんよ、最早もう、其の心算つもりにして置いたのですから、一泊おとまりなすつてネ——ねエ、お加女さん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と構へ込んで悠々乎ゆつくりと從事するが宜いので、そして實際壽命が盡きたら其の事の半途で倒れても結構なのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「いや実はぼくつかれた。また明日あした元気のときりませう。まあ御茶でもんで、ゆつくりなさい」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『まあ、上るさ——猪子君の細君も居るし、それに今話した瀬川君も一緒だから、是非逢つてやつて呉れたまへ。其様そんなところに腰掛けて居たんぢや、緩々ゆつくり談話はなしも出来ないぢや無いか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かうむるゆゑ和女おまへ緩慢ゆつくり御覽ごらんなさいと言つゝとこの中に入しが何でうねむりに着る可きたゞ此方こなたのみうかゞゐるうち又告わたかねの音は子のこくなれどもお光はずいよ/\ほん見入みいるていに庄兵衞今はたまりかね夜具やぐうちより手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さうだすか、わたへ等もしつかり疲勞くたぶれましたなア。まア緩然ゆつくり一服しまへう。」と、道臣は稍どぎまぎしながら言つて、先きに立つて居室ゐまへ入つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今ま直ぐと云ふわけにもなるまいが、何卒どうぞ伯母の健康たつしやな中に左様さうしなさい、山姥やまうば金時きんときで、猿や熊と遊んで暮らさうわ、——其れは左様さうと、今度は少し裕然ゆつくり泊つて行けるだらうの——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)