“のろま”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
野呂間34.3%
鈍間31.4%
野呂松8.6%
緩慢5.7%
魯鈍2.9%
愚圖2.9%
愚鈍2.9%
迂愚2.9%
野呂麻2.9%
鈍漢2.9%
鈍物2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これしきの事をもし驚ろく者があったなら、それは人間と云う足の二本足りない野呂間のろまきまっている。人間は昔から野呂間である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私が想像した通り、鬚が赤くて、眼がビィドロのようで、鈍間のろまらしい風付ふうつきであった。みな黒いざるのような帽子を、かぶっていた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
柏軒は屡々此藤兵衛を其家に招いて、酒間に技を演ぜしめた。「野呂松のろま切破きりやぶり」、「山王祭」、「三人生酔なまゑひ」、「女湯覗をんなゆのぞき」等はその好んで演ずる所であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一体あんな馬鹿野郎を親方の可愛がるというがわっちにはてんからわかりませぬ、仕事といえば馬鹿丁寧ではこびは一向つきはせず、柱一本鴫居しきい一ツで嘘をいえばかんなを三度もぐような緩慢のろまな奴
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
魯鈍のろまだ、魯鈍だ、大魯鈍だ」と思わず又叫んで「フン何が知れるもんか」と添足つけたした。そして布団から首を出して見ると日が暮れて入口の障子戸に月が射している。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
性質ひと善良いいのは魯鈍のろまだ」。と促急込せきこんでひとり問答をしていたが
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
耳が動くといふと猫のやうだと、若い少女むすめは笑つてしまふかもしれなが、鬢でかくして來たくせがついて、とかく女の耳は愚圖のろまつたらしい。
夏の女 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
キョトンと不思議そうに見上げている犬の愚鈍のろまそうな眼を見た途端、息も詰まらんばかりの憎しみと激怒とが私の脳天に衝き上げてきた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
細君は今さらならぬ耕吉の、その日本じゅうにもないいい継母だと思っていたという迂愚のろまさ加減を冷笑した。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
阿波の野呂麻のろまも、やっぱりそうだよ
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
へん、鈍漢のろま。どの道、掏られたにゃ違えはねえが、汝がその間抜けな風で、内からここまで蟇口がまぐちが有るもんかい、とっくの昔にちょろまかされていやあがったんだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「とんだ鈍物のろまにかかりあって、大事な時を潰してしまった。さてこれからどうしたものだ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)