“ひろびろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
広々75.5%
寛々4.1%
曠々4.1%
闊々4.1%
宏々2.0%
広〻2.0%
広広2.0%
広漠2.0%
濶々2.0%
茫広2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
前よりもまた一層広々ひろびろと、一面の日当りになった畠の上には、大根と冬菜とが、いかにも風土の恵みを喜ぶがように威勢好くその葉をのばしている。
冬日の窓 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
光秀も、この日は、心が寛々ひろびろとした気がした。朝倉家の内紛の中に身を置いて、内紛のみにくさに気をくさらしているのは、わざわざ糞土ふんどの中へ行って糞土をののしっているのと同じ愚であると知った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、この第四のパンクの時に、それこそ私たちはもう曠々ひろびろとした平野の耕作地にすべり込んでいた私たち自身を見た。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
あれよりは……あそこにいるよりは、この闊々ひろびろとした野の方がいい。どれほど好いかしれぬ。満洲の野は荒漠こうばくとして何もない。畑にはもう熟しかけた高粱こうりゃんが連なっているばかりだ。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
エレベーターの後ろへ廻って、厳重な差掛屋根ペントハウスを出ると、すぐ私の散歩場なる屋上庭園は、何んのわだかまりもなく、丸ノ内の中空に宏々ひろびろべられて居たのです。
青い空の中へ浮上うきあがったように広〻ひろびろと潮が張っているその上に、風のつき抜ける日蔭のある一葉いちようの舟が、天から落ちた大鳥おおとりの一枚の羽のようにふわりとしているのですから。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
水が枯れて河原の広広ひろびろとした大きな河が来た。勘作はこの河ではないかと思って、渡船場わたしばにおりようとする河土手になった林の中を注意して歩いていた。
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
広漠ひろびろとした耕地一帯をうるおす、灌漑かんがい用の川だったので、上流からは菜の葉や大根の葉や、藁屑わらくずなどが流れて来ていましたが、どうでしょう、流れて来たそれらの葉や藁屑が
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その石も、樹も、皆、水の威力に牽引されているようで、濶々ひろびろとした河原に、一筋水が走っている。この水のみが、活物の緑をひそめているかと思われる。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
正面しょうめん本院ほんいんむかい、後方こうほう茫広ひろびろとした野良のらのぞんで、くぎてた鼠色ねずみいろへい取繞とりまわされている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)