寛々ひろびろ)” の例文
さんとしたおもてを——みだれ髪の毛を——大地に伏せてはいるけれど、心のうちには、何か寛々ひろびろとしたものがあった。ひとりでに可笑しくさえなる余裕があった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光秀も、この日は、心が寛々ひろびろとした気がした。朝倉家の内紛の中に身を置いて、内紛のみにくさに気をくさらしているのは、わざわざ糞土ふんどの中へ行って糞土をののしっているのと同じ愚であると知った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)