闊々ひろびろ)” の例文
と細君は主人がななめならず機嫌きげんのよいので自分も同じく胸が闊々ひろびろとするのでもあろうか、極めて快活きさくに気軽に答えた。多少は主人の気風に同化されているらしく見えた。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あれよりは……あそこにいるよりは、この闊々ひろびろとした野の方がいい。どれほど好いかしれぬ。満洲の野は荒漠こうばくとして何もない。畑にはもう熟しかけた高粱こうりゃんが連なっているばかりだ。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)