“こうばく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
広漠72.5%
荒漠12.5%
控縛5.0%
拘縛2.5%
曠漠2.5%
絞縛2.5%
荒莫2.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
満洲の広漠こうばくたる野には、遅い月が昇ったと見えて、あたりが明るくなって、ガラス窓の外は既にその光を受けていた。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
えきみぎると、もう心細こゝろぼそいほど、原野げんや荒漠こうばくとして、なんとも見馴みなれない、ちぎぐもが、大円だいゑんそらぶ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
広大なる一は不繋の舟の如し、誰れか能く控縛こうばくする事を得んや。こゝに至れば詩歌なく、景色なく、いづれわれ、何を彼と見分るすべなきなり、之を冥交と曰ひ、契合ともなづくるなれ。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
もし我にいかなる罪あるかを問はゞ、我は答ふる事を得ざるなり、しかれども我は牢獄のうちにあり。もし我を拘縛こうばくする者の誰なるを問はゞ、我は是を知らずと答ふるの外なかるべし。
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
その火の色は曠漠こうばくとした周囲のなかでいかにも孤独であった。その火をいて一点の燈火も見えずにこの谿は暮れてしまおうとしているのである。寒さはだんだん私の身体へい込んで来た。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
屍体したい頸部には絞縛こうばくしたる褶痕しゅうこん鬱血うっけつ、その他の索溝さっこう相交あいまじって纏繞てんじょうせり、しかれども気管喉頭部、及、頸動脈等も外部より損傷を認むるあたわず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すった揉んだのあげくに見つけた妥協案が、このシップ——と彼は荒莫こうばくとしたこの沿岸地を見まわすのだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)