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荒漠
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こうばく
ふりがな文庫
“
荒漠
(
こうばく
)” の例文
その
荒漠
(
こうばく
)
たる虚無の中へ、ただ一筋の鉄道が、あたかも文明の触手とでもいったように、徐々に、しかし確実に延びて行くのである。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
駅
(
えき
)
を
右
(
みぎ
)
に
出
(
で
)
ると、もう
心細
(
こゝろぼそ
)
いほど、
原野
(
げんや
)
荒漠
(
こうばく
)
として、
何
(
なん
)
とも
見馴
(
みな
)
れない、
断
(
ちぎ
)
れ
雲
(
ぐも
)
が、
大円
(
だいゑん
)
の
空
(
そら
)
を
飛
(
と
)
ぶ。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
立ち尽すと私は初めて
荒漠
(
こうばく
)
なあたりの光景に驚かされた、かすかな深夜の風が
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
の枯葉に
戦
(
そよ
)
いで、
轡虫
(
くつわむし
)
の声が絶え絶えに、行く秋のあわれをこめて聞えて来る。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
あれよりは……あそこにいるよりは、この
闊々
(
ひろびろ
)
とした野の方がいい。どれほど好いかしれぬ。満洲の野は
荒漠
(
こうばく
)
として何もない。畑にはもう熟しかけた
高粱
(
こうりゃん
)
が連なっているばかりだ。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
たとえば、
海抜
(
かいばつ
)
千メートル以上のアンデス山脈をこえ、昼なお暗い深林を通り、パタゴニアの
荒漠
(
こうばく
)
たる草原を横断せねばならない。そのうえに、パタゴニアの
蛮人
(
ばんじん
)
どもは、諸君を
歓迎
(
かんげい
)
はしまい
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
“荒漠”の意味
《名詞》
広い範囲に荒れ果てていること。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
漠
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
“荒”で始まる語句
荒
荒野
荒唐無稽
荒磯
荒寥
荒涼
荒海
荒々
荒神
荒地