“舳”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
へさき51.5%
みよし31.5%
とも6.0%
5.1%
じく1.3%
おもて0.9%
0.9%
かじ0.4%
そう0.4%
ぢく0.4%
まえ0.4%
トップ0.4%
トモ0.4%
バウ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
フランスの本土とこの「美しき島ベリイルアンメール」をつなぐ定期船は、八月の青いブルタアニュの波をへさきで蹴りながら、いま岩壁を離れたところだ。
時化で舵を折ったときは、みよしのほうへともづなを長く垂れ流し、船を逆にして乗るのが法で、そうしなければ船がひっくりかえってしまう。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
船が横網河岸へかゝったと思う時分に、忽ちとも異形いぎょうなろくろ首の変装人物が現れ、三味線に連れて滑稽極まる道化踊どうけおどりを始めました。
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
浅瀬あさせの波れて底なる石の相磨して声するようなり。道の傍には細流ありて、岸辺の蘆には皷子花ひるがおからみつきたるが、時得顔ときえがおにさきたり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
するとじくに突当る水の音が一際ひときわあざやかに、船はさながら一つの大白魚たいはくぎょが一群の子供を背負うて浪の中に突入するように見えた。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
れは大変な事と思て、すぐ引返ひきかえしておもての方に居る公用方の吉岡勇平よしおかゆうへいにその次第を告げると、同人も大に驚き、場所に駈付かけつ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
周防の娑麽サバの魁師神夏磯媛カムカシヒメは、天子の使ひ来ると知つて、磯津シツ山の賢木サカキを根こじにし、上枝ホツエ八握ヤツカ劔、中枝ナカヅエ八咫ヤタ鏡、下枝シヅエには、八尺瓊を掛けた上に、素幡シラハタを船のに樹てゝ
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ボートのかじを返して燈台とうだいの方へいだが、霧はいよいよ深くなり、海はますます暗くなり、ともすれば暗礁に乗り上げそうであった。
おさなき灯台守 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
すっと抜くと、てのひらに捧げて出て、そのまま、欞子窓れんじまどの障子を開けた。開ける、と中庭一面の池で、また思懸けず、船が一そう、隅田に浮いた鯨のごとく、池の中を切劃しきって浮く。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぢくなかば傾く刹那
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
舟といえば、この渡しの舟の形はおかしい、まえうしろもない、ひきがえるを踏みつけたようなペッタリした舟だワイ、あちらの岸の舟もそうだ。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私は黙って二人が立ち去ったトップの方向をゆびさした。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
齊明天皇の御世に、百濟援助の目的で戰艦を造つたが、折角出來上ると間もなく「トモカヘル」といふ有樣で、實用に適せなかつたといふ(『日本書紀』卷廿六)。
大師の入唐 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
ぼくは二階の廊下ろうかを歩き、屋上の露台ろだいのほうへ登って行きました。眼の下には、するどバウをした滑席艇スライデングシェルがぎっしり横木につまっています。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)