“纜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ともづな67.0%
もや24.1%
つな3.6%
もやい2.7%
もやひ0.9%
とも0.9%
トモヅナ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
時化で舵を折ったときは、みよしのほうへともづなを長く垂れ流し、船を逆にして乗るのが法で、そうしなければ船がひっくりかえってしまう。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
小倉は肉やねぎなどをつつきながら、頭はもやいっ放しの伝馬てんまのことと、三上対船長との未解決のままの問題との方へばかり向いていた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
スルトそのつな引張ひっぱって呉れ、其方そっちの処を如何どうして呉れと、船頭せんどうが何か騒ぎ立て乗組のりくみの私に頼むから、ヨシ来たとうので纜を引張たり柱を起したり
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
背中一面に一人は菊慈童きくじどう、一人は般若はんにゃの面の刺青ほりものをした船頭がもやいを解くと共にとんと一突ひとつき桟橋さんばしからへさきを突放すと、一同を乗せた屋根船は丁度今がさかり上汐あげしおに送られ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
徳二郎は堤を下り、橋の下につないである小舟のもやひを解いて、ひらりと乘ると今まで靜まりかへつて居た水面がにはかに波紋を起す。徳二郎は
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
天の与えとばかり垣根を飛び越えた署長以下二人の警官は舟へ躍り込むや否やとも切る間も遅しと湖中に漕ぎ出した。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
トモヅナを手で追ふ身のあしらひ、「改めて今鬼界ヶ島の流人となれば」のくだりの髯をしごいてのきまり方など、こんなよい物を断片的に独立させて、後はうかめた演出で行くと言ふ法はない。
芸の有為転変相 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)