もやひ)” の例文
徳二郎は堤を下り、橋の下につないである小舟のもやひを解いて、ひらりと乘ると今まで靜まりかへつて居た水面がにはかに波紋を起す。徳二郎は
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
先の石段を下りるや若き女はまづ僕を乘らして後、もやひを解いてひらりと飛び乘り、さも輕々と櫓をあやつりだした。少年こどもながらも僕は此女の擧動ふるまひに驚いた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もやひつなぐや徳二郎も續いて石段にあがり、先に立つてずん/\登つて行く、其後そのあとから僕も無言でついて登つた。石段は其幅半間より狹く、兩方は高い壁である。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)