つな)” の例文
スルトそのつな引張ひっぱって呉れ、其方そっちの処を如何どうして呉れと、船頭せんどうが何か騒ぎ立て乗組のりくみの私に頼むから、ヨシ来たとうので纜を引張たり柱を起したり
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
藪原長者の大館おおやかたは木曽川に臨んだ巨巌きょがんの上にとりでのように立っていた。すそは石垣で畳み上げ、窓はあかがねの網を張り、おおかみより猛々たけだけしい犬の群は門々の柱につないであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私はこれを眺めた刹那せつな、既に秘密の十分の九まで解決したような気持ちがした。私に何んの躊躇ちゅうちょがあろう! 独木舟まるきぶね船尾ともへ筏をつなぎそれから屋根へ這い上がった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで日出夫とジョン少年とは、つないであった小舟に乗り、海上遙かに漕ぎ出した。