“ともづな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
88.6%
艫綱6.3%
纜綱2.5%
友綱1.3%
1.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
為吉はしばらく岸に立って沖をながめていましたが、やがて一番左のはしの自分のうちの舟のともづなを引っ張って飛び乗りました。
少年と海 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
時化で舵を折ったときは、みよしのほうへともづなを長く垂れ流し、船を逆にして乗るのが法で、そうしなければ船がひっくりかえってしまう。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
船、錨、——ともづながそのまま竜の形になったのなど、絵馬が掛かっていて、中にも多いのは、むかしの燈台、大ハイカラな燈明台のも交っています。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あけの七ツから六ツ半どきの間がその日の満潮。浅瀬やわす都合の上に、ぜひ卍丸はその時刻にともづなを解かねばならぬ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村川菊内の言葉はもっともでした。二人の船頭はそれを聞くと、堤の下の杭に繋いだともづなを解いて、もうを押す支度をしております。
重い荷物を白鮫号に積み込んだ私達は、この吹き溜りには風がないので、岸伝いに白鮫号の艫綱ともづなを引っ張って、風のある入江の口までやって来た。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
下男の早川は、ヨットの艫綱ともづなを岩の間の杭に縛りつけたり、船小屋からシートを取り出してヨットの船体ハルへ打掛けたりしていたので、私達よりもずっと遅れてしまった。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
と思うより早く栄三郎も泰軒につづいて舟へとんで、追いすごして石垣から落ちる二、三人の水煙りのなかで、栄三郎がプッツリと艫綱ともづなを切って放すと、岸にののしる左膳らの声をあとに、満々たる潮に乗って舟は中流をさした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
海産物会社の印袢天しるしばんてんを着たり、犬の皮か何かを裏につけた外套がいとうを深々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばきでさっと艫綱ともづなを投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
死なばもろとも、夫婦は二世、切つても切れねええにし艫綱ともづな、あ、いけねえ、切つちやつた。助けてくれ! おれは泳ぎが出来ねえのだ。白状する。昔は少し泳げたのだが、狸も三十七になると、あちこちのすぢが固くなつて、とても泳げやしないのだ。白状する。おれは三十七なんだ。お前とは実際、としが違ひすぎるのだ。
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
「それから、汐の都合で、まんじ丸は明日のあかつき纜綱ともづなを解きまする。これは森様よりのお言葉、殿にも何かのお支度、今宵のうちに願わしゅう存じます」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小倉は、纜綱ともづなを波止場にもやった。そして二人ともその浮波止場に飛び上がった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
僕は昔この辺にあつた「御蔵橋おくらばし」と言ふ橋を渡り、度々たびたび友綱ともづなうちの側にあつた或友達のうちへ遊びに行つた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ともづなを解きてカプリに向ふ程に、天を覆ひたりし紗は次第にちぎれて輕雲となり、大氣は見渡す限澄み透りて、水面には一波の起るをだに認めず。