“かじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
35.8%
14.5%
11.2%
鍛冶10.6%
5.0%
加持3.9%
3.5%
火事2.4%
2.2%
1.5%
(他:50)9.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
煎じて飲むのがまだるッこし、薬鍋の世話をするものも無いから、薬だと云う芭蕉の葉を、青いまんまでかじったと言います——
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
万一この手廻しがのうてみさっしゃい、団子かじるにも、蕎麦そばを食うにも、以来、欣弥さんの嫁御の事で胸がつまる。
錦染滝白糸:――其一幕―― (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地形に変化が多いと機は動揺する。それを逃げて一段たかく上げかじをとった時、私たちの下にまんまんたる青い敷物があった。
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
「曹丞相の命令である。来るところの諸船は、のこらず水寨の外にいかりをおろし、かじを止め、帆綱をゆるめられい!」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家来たちと、話はするし、笑うし、喉がかわいたといっては、瓜などかじって、馬上から、瓜の種を、吐きちらして歩いた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金博士は、後向きに椅子に腰をかけて、西瓜すいかの種をポリポリかじっている。さっきから何ひとつろくに返事をしない。
高瀬の住む町からもさ程離れていないところで、細い坂道を一つ上れば体操教師の家の鍛冶かじ屋の店頭みせさきへ出られる。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
羅馬ローマ鍛冶かじ——とあまり意表外なことを言ったので、あたまも尻ッもなく皆ヘンな顔をして半信半疑、イヤ
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
してかじるとき、を放つときは心静かに落ちつけて、よくよくおのれの力先きの方向に留意するを要する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
トタンに相の山から戻腕車もどりぐるま、店さきを通りかかって、軒にはたはたと鳴る旗に、フトかじを持ったまま仰いでとまる。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「……ぜひ、御息女へ祈祷の加持かじをしてさし上げたい。ご心配の中ではおわそうが、ともあれ病間へお取次ぎくだされたい」と。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、お敏が知ってからは、もう例の婆娑羅ばさらの大神と云う、怪しい物の力を借りて、加持かじや占をしていたそうです。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
扇がたにひろがった尾はかじをとるようにものやわらかにくねり、ときにはげしくうごいて人魚のからだを急激に推進させます。
人魚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
私が帰る時に見ますと、外の車夫はすぐ車を引出しますのに、与吉はのっそり立上って、ゆっくりと来てかじまたぐのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
とうちゃん、あちらのそらが、火事かじのようにあかるいよ。」と、子供こどもは、そとからさけびました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでも、なるたけ危険きけんおかして、ちかくまでいって火事かじるのがきであった。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんななかに育ちながら、成斎は野良仕事を助けようとはしないで、日がな一日青表紙にかじりついてゐた。
鼠がさつきからがり/\と、どこかそこらの天井の中で何をかかじつてゐるのが気になる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
お杉は依然やはり笑って答えず、腰にぶら下げた皮袋から山毛欅ぶなの実を把出とりだして、生のままで悠々とかじり初めた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小「これは有難う、歩くと喉が渇くからたもとへ入れてかじりながらきます、この風呂敷は大きいから大丈夫、宜うございます」
お信さんは手がかじかむといつて、提灯の火で温めた程だつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「寒けりゃ女は蒼くなるものかね。私は今まで赤くなるとばかり思ってた。いいえ、戯言じょうだんじゃないよ。全くこう寒くちゃ遣切れない。手も何もかじかんで了う。時に、あの何は——大将は……」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
俥夫しゃふは、茶屋からいいつけられたままで、深いわけは知らないので、彼女に毛布をかけてやるとすぐにかじを上げて走り出した。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「遠いよ」と云った人の車と、「遠いぜ」と云った人の車と、顫えている余の車は長きかじを長くつらねて、せばく細いみちを北へ北へと行く。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「誰も気がつかなかったそうですよ、船頭は舫っている時でも気が張っているから、や、かじの音を聞き逃すはずはないと言いますよ」
かくて漁師の娘とはなりぬれど、弱き身には舟のかじ取ることもかなはず、レオニのあたりに、富める英吉利人イギリスびとの住めるにやとはれて、小間使こまづかいになりぬ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
五百いおは父忠兵衛をいたわり慰め、兄栄次郎をいさめ励まして、風浪にもてあそばれている日野屋という船のかじを取った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ヒロの舟とかじ、並びにかの犬化して山と石になり、その島に現存すというのだ(一八七二年ライプチヒ版ワイツおよびゲルラントの『未開民史』六巻二九〇頁)。
で、血が動けば氣が動くから、血行が常時より疾くなれば、血が上り、たかぶり、たけり、強まるし、血行が遲くなれば、氣が下り、沈み、かじけ、弱る。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ここに赤猪子「みことを仰ぎ待ちつる間に、已にあまたの年を經て、姿體かほかたちやさかかじけてあれば、更に恃むところなし。然れども待ちつる心を顯はしまをさずては、いぶせきにへじ」と思ひて、百取ももとり机代つくゑしろの物を持たしめて、まゐ出で獻りき。
 夏時かじ白木の弓に弦を張ればにかわげるとて秋冷の候を待ちてするなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
予は三十七年迄は夏時かじのみ牧塲に在るのみ。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
よく重役じゅうやくが、しや、家事かじ雑役ざつえきなどに、社員しゃいん使用しようすることがありますが、あには、けっしていかなかったばかりでなく、そんなひまがあるときは、映画えいがたり、レコードをきいたりしたものでした。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくたちは、よるとなく、ひるとなく、あのゴーウ、ゴーウとほえるような、また遠方えんぽうで、ダイナマイトでいしくだくような海鳴うみなりをきながら、家事かじのてつだいをしたり、やがてくるはる用意よういおこたりがない。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
かじけたる花し散るなと茱萸ぐみ折りて 不玉ふぎょく
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
黄ばみ黒ずんで居た人の顏は、紅色を帶びて來て、漸く鮮やかに美しくなり、かじけ萎びて、硬ばつたり龜裂したりして居た人の皮膚は、輭らぎ潤ひて生氣を増し、瑞々しく若くなつて、ひゞ凍傷しもやけなども治り、筋肉は緊張し、血量は増加したるが如く見える。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かじの音ゆるく太しや行々子ぎょうぎょうし
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
藤原頼長の日記である台記の康治元年八月十八日の条に、権僧正覚宗の談として、同人が少年のとき紀州那智に籠って修行していたが、その頃一人の僧があって現身に補陀洛山に祈参するとて、小さい船の上に千手観音の像を造り立て手にかじを持たせ、祈請三年に及び北風を得て出発したとある。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
「白木綿」はたえかじ(穀桑楮)の皮から作った白布、その白木綿しらゆうの如くに水の流れ落つる状態である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
『阿波志』にタフの原料としてかじの皮を用いたというカヂも、今のヒメカウゾか、そうでなくともこの属の一種であったろうと思う。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
花時濹上佳 〔花時かじ 濹上ぼくじょう
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
相手が熱心なので、『伊勢物語』風の歌ででもあるのかと、心をときめかせながらあけて見ると、案外にも青き薄様うすように「蘭省花時錦帳下」[蘭省らんしょう花時かじ錦帳きんちょうもと]という白楽天の句を書いて、「末はいかに」とある。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
味噌こし下げてはしたのおあしを手に握つて米屋のかどまでは嬉しく駆けつけたれど、帰りには寒さの身にしみて手も足もかじかみたれば五六軒隔てし溝板どぶいたの上の氷にすべり、足溜あしだまりなくける機会はづみに手の物を取落して
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我に佳児かじ有り
翩翩 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「飽浦といえば、加治かじ源太左衛門をさしてのことか」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さて卦面けめんに現われたるは、かくの通り『風天小畜ふうてんしょうちく』とござる、卦辞かじには『密雲雨ふらず我れ西郊さいこうよりす』とある、これは陽気なお盛んなれども、小陰にさまたげられて雨となって地に下るの功未だ成らざるのかたちじゃ」
怖々こわ/″\四辺あたりを見ると、瓜番小屋に人もいない様だから、まアい塩梅と腹がってたまらぬから真桑瓜を食しましたが、庖丁がないから皮ごとかじ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
炊事すいじす暇だになければ、気象学会より寄贈せられたる鑵詰をかじりてうえしのぎ、また寒気次第に凜冽りんれつを加うるといえども
昼間、子供達が板を尻に当てて棒でかじをとりながら、行列して滑る有様を信子が話していたが、その切り通し坂はその傾斜の地続きになっていた。そこは滑石を塗ったように気味悪く光っていた。
雪後 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
さすはかじなき藻刈船もがりぶね
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
驚くべき芳一の琵琶は、かじを引き舟をぐっと進める音のやうに、火の矢が唸り飛ぶやうに、人々が叫びどたんばたんするやうに、兜にやいばが鳴るやうに、殺されたものが海中にぶち落ちる音のやうに響きました。
父八雲を語る (新字新仮名) / 稲垣巌(著)