“衣袂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いべい80.0%
たもと20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青葉の風が衣袂いべいくんじて、十三夜の月も泣いてゐるやうな大川端、道がこのまゝあの世とやらに通じてゐるものなら、思ひ合つた二人は、何んのためらひもなく
日光水面を射て、まぶしさ堪えがたかりしも、川風そよそよと衣袂いべいを吹き、また汗をぬぐう要無し。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
ただすそをかかげたり、衣袂たもとを濡したりする普通の叙写と違って、握飯を今一重裹むというのは、如何にも実感に富んでいる。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
紅蓮白蓮のにほひゆかしく衣袂たもとに裾に薫り来て、浮葉に露の玉ゆらぎ立葉に風のそよける面白の夏の眺望ながめは、赤蜻蛉菱藻ひしもなぶり初霜向ふが岡の樹梢こずゑを染めてより全然さらりと無くなつたれど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)