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衣袂
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いべい
ふりがな文庫
“
衣袂
(
いべい
)” の例文
青葉の風が
衣袂
(
いべい
)
に
薫
(
くん
)
じて、十三夜の月も泣いてゐるやうな大川端、道がこのまゝあの世とやらに通じてゐるものなら、思ひ合つた二人は、何んのためらひもなく
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日光水面を射て、まぶしさ堪えがたかりしも、川風そよそよと
衣袂
(
いべい
)
を吹き、また汗を
拭
(
ぬぐ
)
う要無し。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
瀧飛沫は冷やかに
領
(
えり
)
に
下
(
お
)
ちて
衣袂
(
いべい
)
皆しめり、山風颯然として至つて、瀧のとゞろき、流の
沸
(
たぎ
)
りと共に、人をして夏のいづこにあるかを忘れしむるところ、捨て難いものがある。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
弘独リ走ツテ帰リ泣イテ
家慈
(
かじ
)
ニ訴フ。家慈
嗚咽
(
おえつ
)
シテ
対
(
こた
)
ヘズ。
甫
(
はじ
)
メテ十歳家慈ニ従ツテ吉田ニ至ル。
偕
(
とも
)
ニ
函嶺
(
はこね
)
ヲ
踰
(
こ
)
ユ。
方
(
まさ
)
ニ春寒シ。山雨
衣袂
(
いべい
)
ニ
滴
(
したた
)
ル。
躓
(
つまず
)
キカツ
仆
(
たお
)
ルコトシバ/\ナリ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蹈居
(
ふみゐ
)
る土も今にや
崩
(
くづ
)
れなんと疑ふところ、
衣袂
(
いべい
)
の
雨濃
(
あめこまやか
)
に
灑
(
そそ
)
ぎ、
鬢髪
(
びんぱつ
)
の風
転
(
うた
)
た急なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
倒
(
さかさ
)
まに落すが如し
衣袂
(
いべい
)
皆な
濕
(
うるほ
)
ひてそゞろ
寒
(
さぶ
)
きを覺ゆれば
見分
(
けんぶん
)
確かに相濟んだと車夫の手を拂ひて車に乘ればまたガタ/\とすさまじき
崖道
(
がけみち
)
を押し上り押し
下
(
くだ
)
し夜の十時過ぎ
須原
(
すはら
)
の
宿
(
やどり
)
へ着き車夫を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
私は甲板の
腰掛
(
こしかけ
)
に腰を
下
(
おろ
)
して
海風
(
かいふう
)
の
衣袂
(
いべい
)
を
翻
(
ひるがえ
)
すに任している。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
外へ出ると晩秋の風が爽やかに
衣袂
(
いべい
)
に薫じて、狭い狭い路地にも、江戸の裏町らしい活気は
漲
(
みなぎ
)
ります。
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
天
(
そら
)
暗く水黒くして月星の光り洩れず、舷を打つ浪のみ青白く
騒立
(
さわだ
)
ちて心細く覚ゆる沖中に、夜は丑三つともおもはるゝ頃、艙上に独り立つて海風の面を吹くがまゝ
衣袂
(
いべい
)
湿りて重きをも問はず
雲のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
陽は西に傾きかけて、雨後の
清々
(
すが/\
)
しい川風が、
衣袂
(
いべい
)
を吹いて妙に總毛立たせます。
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
江戸の街々も、初夏らしい活氣に
漲
(
みなぎ
)
つて、急ぎ足の三人の
衣袂
(
いべい
)
に風が薫じます。
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
江戸の街々も、初夏らしい活気に
漲
(
みなぎ
)
って、急ぎ足の三人の
衣袂
(
いべい
)
に風が薫じます。
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
袂
漢検1級
部首:⾐
9画
“衣”で始まる語句
衣
衣服
衣裳
衣紋
衣嚢
衣桁
衣物
衣類
衣兜
衣摺