“かみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カミ
語句割合
32.1%
15.0%
11.7%
内儀11.0%
5.9%
頭髪5.6%
2.8%
2.1%
主婦1.6%
上流1.5%
1.0%
0.6%
髪毛0.6%
0.6%
0.6%
0.5%
女房0.5%
女将0.5%
0.5%
頭髮0.4%
紙片0.3%
白紙0.2%
香美0.2%
黒髪0.2%
女將0.2%
佳味0.2%
0.2%
政府0.2%
0.1%
公儀0.1%
加美0.1%
0.1%
原稿紙0.1%
0.1%
川上0.1%
毛髮0.1%
細君0.1%
結髪0.1%
公邊0.1%
懐紙0.1%
束髪0.1%
0.1%
運命0.1%
上京0.1%
上帝0.1%
上席0.1%
上方0.1%
以前0.1%
内室0.1%
加味0.1%
原稿用紙0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
女神0.1%
0.1%
巨魁0.1%
幕府0.1%
往昔0.1%
捲毛0.1%
昔日0.1%
0.1%
毛髪0.1%
河上0.1%
洋紙0.1%
白髮0.1%
神人0.1%
細紙0.1%
0.1%
長髪0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
甚吉は人違いであるということを世間へ吹聴ふいちょうすれば、それが自然にかみの耳にもはいると思って、偽幽霊の狂言をかいたらしいのです。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
みんなはいろいろまよったすえ、けっきょく、かみさまの奇跡きせきのあらわれた人を法王にえらぼうということに、意見いけんがまとまりました。
あなたの言葉は田舎いなかの女学生丸出しだし、かみはまるで、老嬢ろうじょうのような、ひっつめでしたが、それさえ、なにか微笑ほほえましい魅力でした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
それから數日間すうじつかん主人しゆじんうち姿すがたせなかつた。内儀かみさんは傭人やとひにん惡戯いたづらいてむしあはれになつてまたこちらから仕事しごと吩咐いひつけてやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
念佛ねんぶつにごつたこゑあかるくひゞいた。地上ちじやうおほうたしも滅切めつきりしろえてれうにはてられた天棚てんだな粧飾かざりあかあをかみ明瞭はつきりとしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「実は一つ聴いていただきたいことがあるのでして……」横瀬は、例のモジャモジャ頭髪かみに五本の指を突込むと、ゴシゴシといた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女同士をんなどうしはわあとたゞわらごゑはつして各自てんで對手あひていたりたゝいたりしてみだれつゝさわいだ。突然とつぜん一人ひとりがおつぎのかみへひよつとけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「その通りだよ、親分、自分の本当の娘でないから、閑斎の海坊主、お澪を大旗本の何とかのかみめかけに差出すことを承知したんだ」
でぶ/\に肥つた四十あまりの主婦かみさんと、その妹だといふふくろふの様な眼をした中年の女とが、代る/″\店に出て始終客を呼んで居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
大川も吾妻橋の上流かみは、春の夜なぞは実によろしい。しかし花があり月があっても、夜景を称する遊船などは無いではないが余り多くない。
夜の隅田川 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
右馬うまかみ菟原うばら薄男すすきおはとある町うらの人の住まない廃家の、はや虫のすだいている冷たいかまどのうしろにこごまって、かくれて坐っていた。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
次に六角右兵衛かみ義郷よしさとも、一時危いところであった。それはどう云う訳かと云うと、義郷の家臣に、近江の国信楽しがらきの住人多羅尾道賀と云う者がある。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「頭を出すな」そうどなりながら、石の上へ向うから幸太がとび上って来た、「……髪毛かみへ火がつく、ひっこんでろ」
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「陛下には、なおそのかみの盟をお忘れありませんか。不肖も、関羽の仇を報ぜぬうちは、いかなる富貴も栄爵も少しも心の楽しみとはなりません」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あのお方が俺達を贔屓ひいきにしている、——と云うことが知れているので、俺ら相当悪事をしても、おかみでは目こぼし手加減をしてくれる」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うそ言うて」と伯母は口開いてカラ/\と打ち笑ひ「わしがお前のおかみさんを忘れていものかの」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
二人はそれから田圃たんぼの中にある百姓家を訪れた。百姓家では薄汚い女房かみさんが、裸足はだしのまゝ井戸側ゐどばた釣瓶つるべから口移しにがぶがぶ水を飲んでゐた。
「おい、お女将かみ丁稚でっちも、今日は御用なしだ。呼ばねえうちは、お愛相あいそなんぞを振りきに来るなよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日は日比谷の散歩やら、芝居の立見やら、滿つまらなく日を暮して、おしまひに床屋へ入込はいりこんで今まで油を賣つてゐたのであるが、氣がついて見ると、腹はもうかみつくやうにつてゐる。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
日出雄少年ひでをせうねん鐵工てつこうとなるより、立派りつぱ海軍士官かいぐんしくわんとなる仕度したくをせねばならんよ。』と武村兵曹たけむらへいそうひざなる少年せうねん房々ふさ/″\した頭髮かみでやりつゝ、わたくしむか
が、手に持って居るのは、電報の紙片かみではなく、赤い電話郵便の紙片であった。彼は少し安心した。彼の友人の荒井は、何かと云うと直ぐ電話郵便を利用する男であった。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
水野越前えちぜん勤倹御趣意きんけんごしゅいのときも、鼈甲べっこうかんざしをさしていて、外出するときは白紙かみを巻いて平気で歩いたが、連合つれあい卯兵衛が代っておとがめをうけたのだ。
紙を用いたものとしては香美かみ郡の山田町の雨傘が久しく名を成しました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
武男は涙をふりはらいつつ、浪子の黒髪かみをかいなで「ああもうこんな話はよそうじゃないか。早く養生して、よくなッて、ねエ浪さん、二人で長生きして、金婚式をしようじゃないか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
どうせうかと今一度躊躇する。終に思ひ切つてフッと吹き消す。危なげな段梯子を勢ひよく降りる。「又お出掛け?」と下宿の女將かみさんが言ふのを聞き流してついと出る。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
また人工じんこうたくみなるも、造化ざうくわにはくべからず、自然しぜん佳味かみひとつくらじ、されば、鳥籠とりかごつくし、こゝろつくしてふとも、いかで鳥類てうるゐこゝろかなふべき。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さきに文角ぶんかくぬしが物語に、聴水ちょうすいといふ狐は、かつてわが父月丸つきまるぬしのために、尾の尖かみ切られてなしと聞きぬ。今彼の狐を見るに、尾の尖断離ちぎれたり。恐らくは聴水ならん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
松五郎殿が其のまきぬすんでくような次第と云わざるべからざる義だから、恐入り奉る訳ではない、なれど白刃はくじんって政府かみお役人の集会を蒙むるような事に於ては愍然びんぜんたる処の訳じゃア無いか
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おやらッしゃいまし。どうも飛んだ事で御座いましたねえ」とかみさん未だに以て、ガッカリしていた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
公儀かみが、御存じじゃ。十九歳から四十年間の御奉公振りは、堂上衆どうじょうしゅうも、知って居られる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陸前加美かみ郡鳴瀬村大字下新田字下下下田しもかがた
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
丁度うっとりと眠ってでも居るかと思われるほど長い黒い「まつ毛」がジイッとして、うすい原稿紙かみを持って居る細やかな指もぴりっともしない。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
戻って柳橋の袂を往復ゆきかえりして、淡紅色ももいろ洋脂ぺんきが錆にはげた鉄欄の間から、今宵は神田川へ繋り船のかみさんが、桶をふなばたへ載せて米を磨いで居る背中に、四歳よっつばかりの小児こどもが負われながら仰反のけぞって居るのを
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
川下の者は、隣家の川上かみの者の所へ妻をやって
えぞおばけ列伝 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
かばあしにもとゞくべき毛髮かみを、あがりにかたくつめて前髮まへがみおほきくまげおもたげの、赭熊しやぐまといふおそろしけれど、此髷これ此頃このごろ流行はやりとて良家よきしゆ令孃むすめごあそばさるゝぞかし、色白いろしろ鼻筋はなすぢとほりて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あの先生さへ優しくして呉れたら、何も私は東京などへ行きもしないのに、と考へても見たが、又、今の身分ぢや兎ても先生のお細君かみさんなどに成れぬから、矢張三年行つて来るが第一だとも考へる。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
糸の先につり針がついて、そいつがどこからか伸びて来て、右近の結髪かみに掛り、グウッと上へ持ち上げようとしている……まさに何者かが、喧嘩師茨右近先生を釣り上げようという魂胆こんたん
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ぬすみ出し候ゆゑさては渠等兩人も主人の惡意あくいさつしけれるにや兄弟をぬすみ出しうへうつたへ出る存念ぞんねんと心付南無三寶是ははやりたることをなし公邊かみへ御苦勞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大岡殿おほをかどの粂之進くめのしん白眼にらまれ其方只今たゞいま公邊かみ祿ろく頂戴ちやうだいし御役をつとめ人の理非りひをもたゞす身の上と云ながらまことの火付盜賊は是なる伊兵衞を差置さしおきとがなき喜八をとらとく吟味ぎんみもなくおくじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きっと向いて、境を見た瓜核顔うりざねがおは、ぶちがふっくりと、鼻筋通って、色の白さはすごいよう。——気のもった優しいまゆの両方を、懐紙かみでひたと隠して、大きなひとみでじっと
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
着たきぬは雪の下なる薄もみじで、はだの雪が、かえって薄もみじを包んだかと思う、深く脱いだ襟脚えりあしを、すらりと引いてき合わすと、ぼっとりとして膝近だった懐紙かみを取って、くるくると丸げて
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女は雲のような束髪かみをしている。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
束髪かみは袖に緩く乱れた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
また伊迦賀色許男いかがしこをの命に仰せて、天の八十平瓮やそひらかを作り、天つ神くにかみの社を定めまつりたまひき。
あまかみくにかみ、また山の神海河の神たちまでに悉に幣帛ぬさ奉り、我が御魂を御船の上にませて、眞木まきの灰をひさごに納れ、また箸と葉盤ひらで一〇とをさはに作りて、皆皆大海に散らし浮けて、わたりますべし
運命かみ」の外には「我」もなし。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
運命かみのそなへしとこなるを。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
まだまだあんたはん、たんと持っていましたのどすけど、上京かみから祇園町こっちゃへ来るようになった時、みんな売ってしまいましたのどす。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
われは罪なき父の霊の、めぐみふかき上帝かみ御側みそばに救い取られしを信じて疑わず、後世ごせ安楽を信じて惑わず、更にって我一身のため、わが一家のため、奮って世と戦わんとするものなり。
父の墓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そっと席上を見廻すに、その人々はいつの間にか来て遙の上席かみに傲然とかまえて居るので、貞之進はいよ/\心細く、こうなってからの助けは、途中で買足して来た紙巻烟草の煙ばかりだ。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
娘のころ、大阪の住友家に奉公に出ていた母はよく『男の子は上方かみへ奉公にやらな出世しやへん』と口ぐせのようにいっていた。
されど源叔父げんおじが家一軒ただこの磯に立ちしその以前かみの寂しさを想いたまえ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
清「えゝ、お内室かみさんあんたはまアどうして此様こんなにお成りなさいました、十四年あとお宅で御厄介になりやした家根屋の清次でございやす」
ト僕ガ言つてはヤツパリ広目屋臭ひろめやくさい、おい悪言あくげんていするこれは前駆ぜんくさ、齷齪あくせくするばかりが平民へいみんの能でもないから、今一段の風流ふうりう加味かみしたまへたゞ風流ふうりうとは墨斗やたて短冊たんざく瓢箪へうたんいひにあらず(十五日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
何のことはないまるで子供の使いで、社内でも、おい子供、原稿用紙かみだ、給仕、鉛筆削れと、はっきり給仕扱いでまるで目の廻わるほどこき扱われた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
そのかみ、神功皇后韓国からくにをことむけたまひ、新羅の王が献りし貢の宝を積みのせたる八十艘のかぢを連ねてこの海に浮べるを憶ひおこし、はしなくも離れ小島の秋かぜに荻の花の吹きちるをながむる身は
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
最前よりかみあひ見るに、世にも鋭き御身が牙尖きばさきそれがし如きが及ぶ処ならず。もし彼の鳥猫に取られずして、なほも御身と争ひなば、わが身は遂に噬斃かみたおされて、雉子は御身がものとなりてん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
つきたりと見れば数疋すひき猛犬つよいぬいちどに飛かゝりてかみつく。犬は人を力とし、人は犬を力としてころすもあり。此術はうつほ木にこもりたるにもする事也。
あゝ、女神かみさま! 私の悲しみと熱狂とを憐んで下さいまし。
仕事の隙間に駈けてきたような百姓や、木挽こびきや、赤子の手を引ッぱったかみさんや、頭へ荷を乗せている物売りや旅人。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一一九応保おうほうの夏は美福門院びふくもんゐんいのちせまり、長寛ちやうくわんの春は一二〇忠通ただみちたたりて、われも其の秋世をさりしかど、なほ一二一嗔火しんくわさかんにしてきざるままに、つひに大魔王となりて、三百余類の巨魁かみとなる。
浪人の跋扈ばっこはそれ以前から、幕府かみにとっては頭痛の種でな、ご府内では兵学者だの剣道指南だの、軍書読みだのと看板をあげ、上は士大夫に取り入ったり、下は町人に食い込んで
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その往昔かみのこのおすみという女の童も、うつそみの世にはいのちを阻まれる節があり末の世を頼みに、そのいのちをせめて非情の草木に向けて生い移した不幸な女性群の一人ではなかったのでしょうか。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女たちは色よき衣をつけ、幾重にも編みたる長き捲毛かみを持てり。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
楽毅之伝がっきのでんを読むに——趙王が兵を起して燕国えんこくを討とうとしたとき、楽毅は地に拝伏し、その昔日かみ、臣は燕王に仕えり、燕を去るも燕王を思うこと、なお今日
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここに大長谷の王、そのかみ童男おぐなにましけるが、すなはちこの事を聞かして、うれたみ怒りまして、そのいろせ黒日子のもとに到りて、「人ありて天皇を取りまつれり。いかにかもせむ」
解かば足にもとどくべき毛髪かみを、根あがりに堅くつめて前髪大きくまげおもたげの、赭熊しやぐまといふ名は恐ろしけれど、此髷これをこの頃の流行はやりとて良家よきしゆ令嬢むすめごも遊ばさるるぞかし、色白に鼻筋とほりて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
河上かみの方から出てきた船は、下流しもつくだの方まで流してゆく。下流の方から出てきた船は竹屋を越えて綾瀬の方まで涼風におしおくられてゆく。そして夕暗といっしょに両方がまたぎよせてくる。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
篠田が書斎の奥よりは、洋紙かみしるペンの音、深夜の寂寞せきばくを破りてれ来ぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
針金はりがねのやうなをちらりとつた落葉おちばひとひら/\がけぶりともかるのぼつた。落葉おちばぐにしろはひつてさらいくつかにわかれて與吉よきち頭髮かみから卯平うへい白髮かみつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今、われ汝の人とりをみるに、身体むくろ長大たかく容貌かほ端正きらきらし、力能くかなへぐ、猛きこと雷電いかづちの如く、向ふ所かたきなく、攻むる所必ず勝つ。即ち知る、形は則ち我が子にて、実は即ち神人かみなり。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
クルクルと細紙かみを捲きつけてくる。
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
くしかみ 常世とこよにいます
彼の女房といへば、それでなくてさへ恐ろしい腕力を振つて、たつぷりあつた彼の長髪かみを引きむしつてほんの僅かにしてしまつた女なのだ。
されば富貴のみちは仏家にのみそのことわりをつくして、儒門の教は八九荒唐くわうたうなりとやせん。九〇かみも仏の教にこそ九一らせ給ふらめ。九二いなならばつばらにのべさせ給へ。
箒を堂の縁下えんしたに差置き、御手洗みたらしにて水をすくい、かみ掻撫かきなで、清き半巾ハンケチたもとにし、階段の下に、少時しばしぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処どこともなく機織はたおりの音聞こゆ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)