“かみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カミ
語句割合
33.7%
13.0%
内儀11.6%
11.5%
頭髪6.1%
5.0%
2.6%
1.9%
主婦1.8%
上流1.8%
(他:151)11.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
菅茶山の書牘に許多あまたの人名の見えてゐることは、かみに写し出した此年文化十四年八月七日の書に於ても亦同じである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かみに対する人間の尊敬心というものが、地を払ってしまったのは、お上に威厳がないのか、人間がつけ上ってしまったのか。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
日本紀の一書には、やはり山の神・野の神・土の神などと並んで、かみたち句句廼馳くくのちと号すともある。
「どうかるように、どうかかみさまあめるようにねがいます。」と、おついのっていました。
神は弱いものを助けた (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると天和堂のお内儀かみさんはかねて知合いと見えて、さっそく椅子を指してどうかお掛け下さいと言ってしょうじたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
続いて降りたのが、丸髷頭まるまげあたまの短い首を据えて、何やら淡色うすいろの紋附を着た和泉屋の内儀かみさんであった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのしぶとさが余計胸の中に来ると、僕は彼女のかみをひきつかんで、まるで、泥魚のように、地べたに引きずって帰って来た。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
やせおとろえ、かみをぼうぼうとのばし、ぼろぼろに破れ、風雨のために縞目しまめもわからずなりたる着物をきている。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
で何事に依らず氣疎けうとくなツて、頭髪かみも埃にまみれたまゝにそゝけ立ツて、一段とやつれひどく見える。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
頭髪かみを長くして、きちんと分けて、額にふらふらとさばいた、女難なきにしもあらずなのが、渡世となれば是非も無い。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それをかみつゝみまして、かみうへにもとうさんをおく言葉ことばいてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
といって、大きな、いいにおいのするみかんを三つ、りっぱなかみにのせて、おともさむらいわたしました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
だらりといて、したしさうにあへぎ/\――下司げす人相にんさうですよ――かみながいのが
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもうに、太平の世の国のかみが、隠れて民間に微行するのは、まつりごとを聞く時より、どんなにか得意であろう。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おもふに、太平の世の国のかみが、隠れて民間に微行びこうするのは、まつりごとを聞く時より、どんなにか得意であらう。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
降誕祭ワイナハトの初めの日には、主婦かみさんが、タンネンバウムを飾るから手伝ってくれぬかと言うので、お手伝いしました。
先生への通信 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
渋谷の終点で電車を下りて、例の砂利を敷いた坂路を、三人はKの下宿へと歩いて行った。そこの主人も主婦かみさんも彼の顔は知っていた。
子をつれて (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
「待て待て。向うで影を隠したのは、おれの舟に気がついたためじゃねえ、上流かみの方からお船手の見廻り船がやって来たのだ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとしゅっこが、吉郎、おまい上流かみから追って来い、追へ、追へ、と云ひながら、自分はだまって立って見てゐた。
さいかち淵 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「どちらがですえ、ほうきかみさま。わたしたちが知らずにいたら、そのまま御出陣のおつもりだったんでしょ。まあ憎い」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裾の方は屏風びょうぶで囲われ、かみの方の障子の破隙やぶれから吹き込む夜風は、油の尽きかかッた行燈の火をあおッている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
大臣は大和やまと葛城かつらぎ山から呼んだ上手じょうずな評判のある修験者にこの晩はかみ加持かじをさせようとしていた。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
尊氏が三位の参議、左兵衛さひょうえかみであるにたいし、正成はじゅ五位河内守たるにすぎない。
飯田町いひだまち下宿げしゆくにおいでのころ下宿げしゆく女房かみさんが豆府屋とうふや
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(この女房かみさんならちやあつい)――一わんきつし、博士はかせたちと一いきして、まはりのくさ広場ひろば
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうちに平生いつもの癖で長くは睡っていられない老婆が眼を覚したところで、おかみさんの室にものの気勢けはいがした。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そうか」賢次はふと考えて、「君、いっそおかみさんをもらって、別家したらどうだ、気もちがかわって、いいじゃないか」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「陛下には、なおそのかみの盟をお忘れありませんか。不肖も、関羽の仇を報ぜぬうちは、いかなる富貴も栄爵も少しも心の楽しみとはなりません」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日は赤坂八百勘にて、そのかみの同窓生が、忘年会の催しありとて、澄が方へも、かねてその案内あり。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
老婆も私とさし向いに坐ったが、瘠せ枯れた白い手で襟元を直して、蓬々ほうほう逆立さかだった髪毛かみを撫で上げた。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
中林先生の深い深い親切と智慧に、驚いて、感心してしまいながら、その乱れた髪毛かみの下に光る凜々りりしい瞳の光りを見上げていた。
継子 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「色が少しどうもね。……まるで芸者屋のお女将かみでも着そうな羽織じゃないか」風々主義者の彼も、さすが悪い気持はしないといった顔してこう言った。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
「あの男なら、俺らに仕返しをやりかねまいぜ。だが、あいつが生きているとは……。とにかく、ここに四人いるからなア――お女将かみに、俺に、お悦に、それから左枝だ」
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
表向きは、こうした色の禁令が、次第に行きわたって来たけれど、家の女部屋までは、かみの目も届くはずはなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
表向きは、かうした色は許されぬものと次第になつて来たけれど、家の女部屋までは、かみの目が届くはずもなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
投げ出した紙片かみと肉一片――毛髪の生えた皮肌はだの表に下にふっくらとした耳がついて、裏は柘榴ざくろのような血肉のかたまりだ。
が、手に持って居るのは、電報の紙片かみではなく、赤い電話郵便の紙片であった。
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
落葉おちばぐにしろはひつてさらいくつかにわかれて與吉よきち頭髮かみから卯平うへい白髮かみつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「お駒ちやん。……ハヽヽヽ。可愛らしい名やなア。」と、京子は眞向まつかふから大きな聲を浴せて、綺麗に結つたお駒の頭髮かみと愛くるしい頸筋のあたりとを見た。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
一生いつしやう一人ひとりいてくださりませとわつとこゑたてるをかみしめる襦袢じゆばんそで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一生一人で置いて下さりませとわつと声たてるをかみしめる襦袢の袖
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
白紙かみが湯氣に濕つて――したたれるやうな緑の黒髮に對し、あの、しんめりした感觸――
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
だが、繪に出來ないで、私の心にとまつてゐる風景は、白紙かみを鼈甲のかうがいに捲いた、あの柳橋やなぎばしの初春の――白紙かみを捲いたかうがいなんて、どうしたつて繪にはならない
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
武男は涙をふりはらいつつ、浪子の黒髪かみをかいなで「ああもうこんな話はよそうじゃないか。早く養生して、よくなッて、ねエ浪さん、二人で長生きして、金婚式をしようじゃないか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
これから気をけてると、黒髪かみも人知れず染め、鏡を朝晩にながめ、御召物のしま華美はでなのをり、忌言葉いみことばは聞いたばかりでいやな御顔をなさいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
盗人ぬすびとが忍んで来て犬に吠えられ短銃ピストルを乱発して防ぎながらつひかみ殺されて仕舞しまふのは
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
保胤は遂に寛和二年を以て、自分が折角こしらえた繭をかみやぶって出て、落髪出家の身となってしまった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「お女將かみさんの甥の與之松さんで――あれもお北を追つかけ廻して居る口ですよ。尤も若旦那よりは少し筋が通つて居るが――」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「三人の娘達が言つてゐましたよ、お女將かみさんは、あの齡をして、毎晩濃く寢白粉をつけるんですつて、――だから白粉燒けで、かへつて、蒼黒い顏色になるんですね」
仕事は安藝あき郡、香美かみ郡、長岡ながおか郡などにも及び、信用は販路を遠くまで拡げました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
紙を用いたものとしては香美かみ郡の山田町の雨傘が久しく名を成しました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
とドノバンがいった。じっさいそれは、アメリカだちょうと、しょうせらるるものであった。全身は灰色で、その肉は佳味かみをもってしょうせらる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
また人工じんこうたくみなるも、造化ざうくわにはくべからず、自然しぜん佳味かみひとつくらじ、されば、鳥籠とりかごつくし、こゝろつくしてふとも、いかで鳥類てうるゐこゝろかなふべき。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
丁度うっとりと眠ってでも居るかと思われるほど長い黒い「まつ毛」がジイッとして、うすい原稿紙かみを持って居る細やかな指もぴりっともしない。
千世子(二) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
馬鹿らしい独言ひとりごとを云って机の上にらばった原稿紙かみふるペンをながめて、誰か人が来て今の此の私の気持を仕末しまつをつけて呉れたらよかろうと思う。
秋風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
五十の時、かみさんに死なれたので、たつた一人子の京内きやうないれて、山の奥の奥に行つて、毎日々々木をつて、それを炭に焼いてゐました。
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
戻って柳橋の袂を往復ゆきかえりして、淡紅色ももいろ洋脂ぺんきが錆にはげた鉄欄の間から、今宵は神田川へ繋り船のかみさんが、桶をふなばたへ載せて米を磨いで居る背中に
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「おやらッしゃいまし。どうも飛んだ事で御座いましたねえ」とかみさん未だに以て、ガッカリしていた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
デブデブ肥満ふとった漁師のかみさんが、袖無し襦袢じゅばんに腰巻で、それに帯だけを締めていた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)