かみ)” の例文
さすがに、子供こどもどうしのあいだでは同情どうじょうがあって、行商ぎょうしょうると、鉛筆えんぴつや、かみなどを学校がっこう生徒せいとってくれます。ありがたいことです。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
念佛ねんぶつにごつたこゑあかるくひゞいた。地上ちじやうおほうたしも滅切めつきりしろえてれうにはてられた天棚てんだな粧飾かざりあかあをかみ明瞭はつきりとしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
茶色ちゃいろ表紙ひょうしに青いとじ糸を使い、中のかみ日本紙にほんし片面かためんだけにをすったのを二つりにしてかさねとじた、純日本式じゅんにほんしき読本とくほんでした。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
かへるにくべにはちをくはへてはうんできますが、そのちひさなかへるにくについたかみきれ行衛ゆくゑ見定みさだめるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小六ころくなんにもこたへなかつた。臺所だいどころからきよつて含嗽茶碗うがひぢやわんつて、戸袋とぶくろまへつて、かみ一面いちめんれるほどきりいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やなぎみどりかして、障子しやうじかみあたらしくしろいが、あきちかいから、やぶれてすゝけたのを貼替はりかへたので、新規しんき出來できみせではない。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今でもからかみ障子しょうじ屏風びょうぶの装飾には、是を使ったものが幾らも見られるけれども、衣服の材料としては次第に用いなくなって来たのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ところが、そのとき、にいさんの三之助さんのすけが、ほご(ものをかきそこなって、不用ふようになったかみ)を部屋へやいっぱいにひろげて、整理せいりをしていました。
霜夜しもよふけたるまくらもとにくとかぜつまひまよりりて障子しようじかみのかさこそとおとするもあはれにさびしき旦那樣だんなさま御留守おんるす
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まだくことさえよく出来できないうちから、家計簿かけいぼかみをちぎりとっては、いろいろな音符おんぷを一生懸命しょうけんめいきちらした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
紙をまとめて、机代りの箱の上にのせ、硯にかみの被をし筆を拭くと、左の手でグイと押しやって、そのまんまあかりの真下へ、ゴロンと仰向になった。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さういひながら、玄関げんくわんつゞきのちやへはひると、青木さんはかみにくるんだ額面がくめん十円の△△債劵さいけん背広せびろの内がくしから、如何いかにも大さうにとり出した。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
參詣さんけい老若男女らうにやくなんによは、ぞろ/\と、るやうに松並木まつなみきみち往來わうらいして、ふくろはひつたあめや、かみこしらへたはたのやうなものが、子供こどもにも大人おとなにもあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あたまのてっぺんまで、汚泥はねがるのもおかまいなく、よこびにした市松いちまつには、あめなんぞ、芝居しばい使つかかみゆきほどにもかんじられなかったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
それから、おほきな木材もくざいからこまかな纎維せんいをとつてかみをこしらへたり、そのほかにも使つかふようにもなり、最近さいきんでは人造絹絲じんぞうけんし原料げんりようにも澤山たくさん木材もくざい使つかつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
一同みんなふでかみすみの用意して愡掛そうがかりだと云た所でここに一つ困る事には、大切な黒田様の蔵書をこわすことが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その娘は非常にみにくくて青いはな汁をグスグスいはせてゐるが、××樣があたしをくどくのなんのと書いたかみを捨ておいて、いつもあたしを困らせてゐるのだつた。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
といって、大きな、いいにおいのするみかんを三つ、りっぱなかみにのせて、おともさむらいわたしました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ホールは、きょろきょろとあたりを見まわし、つくえのうえいっぱいに、むずかしそうなこまかい数字すうじをかきこんだかみらばっているのをみると、ばかにしたようすで
ロミオ そりゃまことか?……おのれ、うらめしい運星うんせいめら!……おれ宿やどってゐような。ふでかみとをれて、そして驛馬はやうまをもやとうてくれ。今宵こよひのうちに出發たうわ。
かれのあゆむにつれ彼の手から、かみでつくった桃色ももいろ蓮華れんげ花片はなびらがひらひら往来おうらいらばった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下っ引の一人が、小さいかみきれを拾って来たのは、そのまた翌る夜の亥刻よつ(十時)過ぎ。
一〇八まどかみ松風まつかぜすすりて夜もすがら涼しきに、一〇九みち長手ながてつかうまねたり。
道子みちこはゝのみならずちゝはかも——戦災せんさい生死不明せいしふめいになつため、いまだにてずにあることかたり、はゝ戒名かいみやうともならべていしつてもらふやうにたのみ、百円札ひやくゑんさつ二三まいかみつゝんでした。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ようやく硯箱を取寄せて、かみふでらせましても、お照は紙の上に涙をぽろ/\こぼしますから、墨がにじみ幾度も書損かきそこない、よう/\重二郎の云う儘に書終り、封を固く致しました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おどろいたことには、とらのやうに大切たいせつにしてゐるウェルスの手紙てがみなどれた折鞄をりかばんのなかから、黒髪くろかみたば短刀たんたうとが、かみにくるんで、ひもいはへられたまゝ、竹村たけむらまへ引出ひきだされたことであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かみのべ腫物しゆもつの上に貼置はりおきけるに其亥刻頃よつごろより痛む事甚だしく曉方あけがたに成て自然しぜんつひうみの出る事夥多敷おびたゞしく暫時しばらく有ていたみわすれたる如くさりければ少しづつうごかし見るに是迄寢返ねがへりも自由に成ざりし足がひざ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんこたへもしらかみ
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
紺地こんぢかみ金泥こんでい
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いろいかみ
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あるのこと、彼女かのじょは、いつかあかかみいしつつんでげたいわうえにきて、うみのぞみながら、かみさまにわせて、しずかにいのりました。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
梯子はしごやう細長ほそながわくかみつたり、ペンキぬりの一枚板まいいた模樣畫もやうぐわやう色彩しきさいほどこしたりしてある。宗助そうすけはそれを一々いち/\んだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ追憶つゐおくへなくなつてはおしな墓塋はかいた。かれかみあめけてだらりとこけた白張提灯しらはりちやうちんうらめしさうるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かみづつみの鹽煎餅しほせんべいと、夏蜜柑なつみかんつて、立寄たちよつて、ことばつうぜずなぐさめたひとがある。わたしは、ひとのあはれと、ひとなさけなみだぐんだ——いまかるゝ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かみいととはお祖母ばあさんがくださる、ほねたけうら竹籔たけやぶからぢいやがつてれる、なにもかもおうちにあるものひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と、諭吉ゆきちはふまんにおもい、そして、かみうえ文字もじを、ただたいせつにするということに、うたがいがわいてきました。
左樣さやうならばと挨拶あいさつすれば録之助ろくのすけかみづゝみをいたゞいて、お辭儀じぎまをはづなれど貴孃あなたのおよりくだされたのなれば、ありがた頂戴ちようだいしておもにしまする
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ロミオ なんうたものかわしらぬ。なう、わが聖者せいじゃよ、わがきみかたきぢゃとあるゆゑ、自分じぶんながらにくうて/\、かみいてあるものなら、引破ひきやぶってしまひたい。
なまいきな態度たいどで一枚の紙きれをさしだしたが、ひょいとぼくの顔をみると、目玉めだまがとびでるほどおどろいて、かみきれをその場にほうりだして、ころがるように逃げていったよ
そ、その料簡りょうけんがいけねえんだ。はらにあろうがなかろうが、武士ぶし戦略せんりゃく坊主ぼうず方便ほうべんとき場合ばあいじゃ、ひと寝首ねくびをかくことさえあろうじゃねえか。——さ、ここにふでかみがある。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
にんのおよめさんは、音楽おんがくでもけたものですから、こんどはすずりかみして
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
致し切付きりつけたれば其者迯行にげゆきしが跡におとせし物あるにより拾上ひろひあげて見れば百兩の金をかみつゝみ水引を掛け上書に奉納と書記かきしるし有りし事を承まはり候と申立ければ夫にてよしと女房は其儘そのまゝ歸されたり偖大岡殿智略ちりやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし、あねまどからのぞいてみると、かみのおうまはいつのまにかかわいて、かぜかれてんで、あちらの屋根やねのといにかかっていました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
電氣でんきの一きよく活字くわつじむすけていて、の一きよくかみつうじて、其紙そのかみ活字くわつじうへけさへすれば、すぐ出來できるのだと小六ころくつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なはには注連しめのやうにきざんだあかあをかみが一ぱいにひら/\とられてある。彼等かれら昨日きのふうちに一さい粧飾かざりをしてにはとりくのをつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
むらひとはめい/\おもち竿さをさきにさしてそのいてべたり、子供こどものお清書せいしよけむりなかげこんで、たかそらにあがつてかみきれながめたりしました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
廣小路ひろこうぢいづればくるまもあり、阿關おせき紙入かみいれより紙幣しへいいくらか取出とりいだして小菊こぎくかみにしほらしくつゝみて、ろくさんこれはまこと失禮しつれいなれど鼻紙はながみなりともつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さっそく、はねペンと墨汁ぼくじゅうかみ用意よういして、二百ページあまりの築城書ちくじょうしょを、かたっぱしからうつしはじめました。
手巾ハンカチあらつたの、ビスミツト、かみつゝんでありますよ。寶丹はうたん鶯懷爐うぐひすくわいろ、それから膝栗毛ひざくりげ一册いつさつ、いつもたびふとつておいでなさいますが、なんになるんです。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼくの部屋へやでさわいでいた連中れんちゅうがすっかりひきあげると、そっと、おやじの部屋から、ぼくの部屋にひきかえして、そのへんにある書類しょるいかみくずを山とつみあげ、マッチをすって