“労”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
つか31.0%
いたわ25.5%
いた21.5%
ろう4.4%
ねぎら4.0%
いたは3.3%
つかれ1.5%
ねぎ1.5%
らう1.5%
づか0.7%
(他:14)5.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「おう、おう、お心にもない一頃ひところの戦には、さこそ、お心をつかわれたことでおざろう。したが、まだ少々、御苦労事が残っておりますな」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やや有りて裂了さきをはりし後は、あだかもはげしき力作につかれたらんやうに、弱々よわよわと身を支へて、長きうなじを垂れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もとより虚しいことです、ほんとうに手にも取り得ず、わが身を徒らに吹き過ぎる風のようなものです。これを捉えようとするものはつかれるだけです。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「小母さん、そう働らいちゃ悪いだろう。先生の膳は僕が洗って置くから、彼方あっちへ行って休んで御出おいで」と婆さんをいたわっていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
相川が、もっともらしい口吻で、いたわるような視線を向けると、おかみさんは膝にもたれて眠っている三つくらいの女の子の髪の毛を撫であげながら、
度のすぎたいたわりや祝辞は云々は全く恐縮で、これから本当にお止め? しかし、もし相当ちゃんとしているのだとしたら、お止めの理由もないわけね。
烏帽子えぼしがまがり、中啓ちゅうけいが、飛んだ。と、吉良は、美濃守に受けとめられて、すうっと、いたわるように、抱き下ろされていた。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
女ははつきりさう答へ、蒲原氏がお礼の意味でガックリ頷くのを見ると、なほも何やらいたはりたげな様子であつたが、ふりむいて、軽々と歩きだした。
逃げたい心 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
つらい世間の前に立つて、自分をあれ程までにいたはり羽含はぐくんでくれた亡き人の犠牲的な愛を思ふと、須磨子は堪へ難い思ひがしたに相違ない。
日頃我儘わがまま気性きしょうの彼女だったが、弟を殺された一郎に同情したものか、快くこのろうをとって支配人の承諾を得させたのであった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
且つまた、本当の安楽は、世の見て以ていつとするところに存在せずして、見て以てろうとするところに存在するのではございますまいか。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
であるから、僕は如何なる人が、如何なるほどに、僕のために心や身をろうしてくれたか、つぶさに考えて、これを常に心にめいじておきたいと思うのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
米友は眼をらして横を向いて、能登守のねぎらう言葉を好意を以て受取ろうとしません。屋敷に着いた時も、表から入らずに裏から入りました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
姉は一同に別れの言葉を告げ、両親に愛育を感謝し、祖母の身の上をねぎらい、自ら合掌して念仏してくれよとたのみ念仏の声につつまれて消ゆるごとくに死にました。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
戸の外に出迎へしエリスが母に、馭丁をねぎらひ玉へと銀貨をわたして、余は手を取りて引くエリスに伴はれ、急ぎて室に入りぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
其れを知らぬ程の良人をつとでは無いが、持前もちまへ負嫌まけぎらひな気象と妻をいたはる心とから斯う確乎きつぱりした事を云ふのであると美奈子は思つて居る。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
此雪このゆきなか跣足はだしで歩きまして、わたくし負傷けがいたしますとおとつさんいたうないかとつていたはつてれます
小母をばさん、さうはたらいちやわるいだらう。先生の膳は僕が洗つて置くから、彼方あつちつてやすんで御出おいで」とばあさんをいたはつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おのづから浮世の物ならで、我はここにうれひを忘れ、かなしみを忘れ、くるしみを忘れ、つかれを忘れて、身はかの雲と軽く、心は水と淡く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
啄木、永く都塵に埋もれて、旦暮たんぼ身世しんせい怱忙そうばうに追はれ、意ならずして故郷の風色にそむくうちに、身は塵臭に染み、吟心またつかれをおぼえぬ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
すべつかれたる者またおもきおへる者は我に来れ我なんぢらをやすません、我は心柔和にして謙遜者へりくだるものなれば我軛わがくびきを負て我にならへなんぢら心に平安やすきべし
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
勝頼、惣蔵を扇であおいでねぎらい、伝右衛門の軽傷を負ったのに自ら薬をつけてやった。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
帝みずからとうくだりてねぎらいて曰く、先生労苦するなかれ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それが済むと、彼は始めて微笑を浮べながら、妾をねぎらった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しからうおほくしてをさむる所がきはめて少いから可厭いやつてしまつたので、石橋いしばしわたし連印れんいん
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何の政化を修め能く此の道をいたさむ。頃者このごろ年穀ねんこく豊かならず、疫癘やくらいしきりに至り、慙懼ざんくこもごも集りて、ひとりらうしておのれを罪す。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
これいかんとなれば縮を一たんになすまでに人のらうする事かぞへつくしがたし。
さりとて打捨置かば清吉の乱暴も我が命令けて為せし歟のやう疑がはれて、何も知らぬ身に心地快からぬ濡衣被せられむ事の口惜しく、唯さへおもしろからぬ此頃余計な魔がさして下らぬ心づかひを
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
大病たいびやうでも自分で死ぬと覚悟かくごをし、医者いしや見放みはなした事も知つてり、御看病ごかんびやうは十分にとゞき、自分もう死ぬとあきらめがいてしまつても、とろ/\と病気びやうきづかれで寝附ねついた時に、ひよいとあひだめる事がります。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
天皇すめらがうづの御手みてもち、掻撫かきなでぞぎたまふ、うち撫でぞぎたまふ、かへり来む日あいまむ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「掻き撫でぞぎたまふ、うち撫でぞ労ぎたまふ」と、御自ら歌ひ給うた折の玉音を想像し奉つただけで心はときめく。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
食国をすくにの とほ朝廷みかどに 汝等いましらし 斯くまかりなば 平らけく 吾は遊ばむ 手抱たうだきて 我は御在いまさむ 天皇すめらが うづの御手みてち 掻撫かきなでぞ ぎたまふ うち撫でぞ 労ぎたまふ 還り来む日 相飲まむぞ この豊御酒とよみき
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
争ひ得ずしてつひに貴婦人の手をわづらはせし彼の心は、あふるるばかり感謝の情を起して、次いではこの優しさを桜の花のかをりあらんやうにも覚ゆるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
前後ぜんご三人さんにん紹介者せうかいしやわづらはしたので、の第一が吉岡君よしをかくん
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母親も、「れか一人大人を附けてやりましょう」と言ったが、大人は昼の仕事にかれているので、夜頼むわけにはゆかない。
村芝居 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「それは不平組の楊奉と、白波帥はくはすいの山賊あがりの韓暹かんせんと、二人がしめし合わせて、大梁たいりょうへ落ちて行ったものです。——将軍の威望をそねむ鼠輩そはいの盲動。何ほどのことをしでかしましょうや。お心をついやすまでのことはありますまい」と、いった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「人は長生きせんと思えば、うそをいうべからず。嘘は心をつかいて、少しの事にも心をついやせり。人は心気だに労せざれば、命ながき事、疑うべからず」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「むむ、半兵衛の看護みとりを頼んだぞ。くれぐれ軽はずみをさすな、気をつこうて帰城をいそぐなと、半兵衛にも伝えおけよ」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北兵中国の兵は、みな水に馴れず、いま大江に船を浮かべ、久しく土を踏まず、風浪雨荒ふうろううこうのたびごとに、気をわずらい身を疲らす。ために食すすまず、血環ちめぐることって病となる。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これ等を鼈四郎は、病友が一期の名残りと思えばこそ奔走しても望みを叶えさしてやるのだが、病友はこれ等をたのしみ終りまだ薬の気が切れずに上機嫌の続く場合に、鼈四郎を遊び相手にわずらわすのにはさすがの鼈四郎も、病友が憎くなった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かゝる難所なんじよを作りて他国の旅客りよかくわづらはしむる事もとめたる所為しわざにあらず。
思ひに思ふのみにて別れて後の事は知らず、如何いかなるわづらひをやさまでは積みけん、よはひよりは面瘁おもやつれして、あやしうも物々しき分別顔ふんべつかほに老いにけるよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
木の間より洩り来る 月のかげ見れば、心ヅクしの 秋は来にけり
大御身オホミミヤミ時。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)