“ろう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ロウ
語句割合
31.0%
17.6%
10.1%
9.5%
8.7%
4.2%
2.6%
2.4%
2.2%
1.9%
1.6%
1.4%
1.2%
0.7%
0.5%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
大牢0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
権勢や名誉や物欲のために、恥を忘れて狂奔し、やっきとなって卑劣な術策をろうする人たちにも、彼は同じことを問いかけたかった。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのろうのように艶のある顔は、いくぶん青褪めてはいたけれど、形のいい弾力のある唇は、まるで薔薇の花片はなびらを置いたようにあかかった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この寄場はろうではないと云い、その扱いも牢にいる罪人とは慥かに違うが、いずれにせよ、世間から隔離されるだけの理由があった。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
投げ柴の火光などが火のたすきとなって入り乱れているあいだを、金鼓、矢うなり、突喊とっかんのさけび、たちまち、耳もろうせんばかりだった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして再び身慄みぶるいに襲われた。なぜならば、ろうやかに化けた女狐めぎつねのように——草の根におののいていた女は、野で見るには、余りに美しい。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八のふかくしながら、せたまつろう眼先めさきを、ちらとかすめたのは、うぐいすふんをいれて使つかうという、近頃ちかごろはやりの紅色べにいろ糠袋ぬかぶくろだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
わたくしは芸林に遊ぶものの往々社を結び党を立てて、おのれくみするを揚げ与せざるを抑えようとするものを見て、之を怯となし、ろうとなすのである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
では、おいとまさせていただきます。したが、あなたさまは何で先程からわたくしの足元ばかりごろうじてでございます。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あんとか、ていとか、ろうとか風流な名をつけた豪商の寮や、料理屋が、こんもりした樹立ちのなかに、洒落しゃれた屋根を見せている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
甘いすすり泣きに一ときしいんとなったかと思うと、あまりにも早いうちに、ろうのどこかで衆僧の呼ぶ声がここの男女ふたりを驚かせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日頃我儘わがまま気性きしょうの彼女だったが、弟を殺された一郎に同情したものか、快くこのろうをとって支配人の承諾を得させたのであった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白いかたわれ月はろうたけて黄にあかって来る。ほのかに白い白帝城を、私の小さい分身の子供が、立ってとまって仰いでいる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ろう」は彼のイデア——美しきものの実体観念——だった。それ故に彼の俳句は、すべての色彩を排斥して、枯淡な墨絵で描かれている。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
ろうを得て、またすぐ何か、蜀を望まん。わが軍の人馬も疲れている。まあ、もうすこし休息させる必要もあろう」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし昔は人のこの病を恐るること、ろうを恐れ、がんを恐れ、らいを恐るるよりも甚だしく、その流行のさかんなるに当っては、社会は一種のパニックに襲われた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その者は窮貧の生活を営み、みつ十三ろうをやしないて渡世をなしおれりとぞ。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
その下には髪毛から首のあたり——胸から爪先へかけて、一面に紅玉ルビーに包まれて、ろうのように血の気を失った濃紅姫の死骸が仰向けに横たわっております。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
しかし何よりも不満なのはお遊さんのかおにあるあの「ろうたけた感じ」がない、お遊さんよりずっと位が劣って見える
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
すゑなにとなるぞ、兩親れうしんありながら大目おほめてあらきことばをかけたることく、ろうあるじ大切たいせつがる樣子さまあやしきに、けば養女やうぢよにもあらず親戚しんせきにてはもとよりく、あねなるひと身賣みうりの當時たうじ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
毎夜のように母屋のどこかで演じられるろうがわしい馬鹿さわぎを怨みもせず、内坪うちつぼの北の隅にある別棟の曹司で六人の子供を育てながら、庭の花のうつりかわりを見て
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ろう種の羊西海にづ、羊の臍を以て土中にえ、そそぐに水を以てす、雷を聞きて臍系生ず、系地と連なる、長ずるに及び驚かすに木声を以てすれば、臍すなわち断ち、すなわち能く行き草を噛む
低いが、ろうとして洩るるおくちずさみをきいて、藤房もすぐこうんだ。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ろうたる暑き魔睡ますゐ……重く、いみじく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
穰苴じやうしよすでに((君ヲ))し、莊賈さうかやくしていはく、『(六)旦日たんじつ(七)日中につちう軍門ぐんもんくわいせよ』と。穰苴じやうしよせてぐんいたり、(八)へう(九)ろうくだしてつ。
穰苴じやうしよすなはへうたふ(一二)ろうけつし、りてぐんめぐへい(一三)ろくし、約束やくそく(一四)申明しんめいす。約束やくそくすでさだまる。夕時せきじ莊賈さうかすなはいたる。穰苴じやうしよいはく、『なんすれぞおくるる』
二寸四方の小さな鉄碪かなしきろうを溶かすアルコールランプとがあればよい。その鑞は、以前は樹脂と油煙とで作られていて、一斤四フランもしていた。
腕環うでわには、ろう付けにしたブリキの自在環の代わりに、はめ込んだブリキの自在環をつけることを発明しました。その方がきれいで、品もよく、価も安いのです。
「日頃にもない平馬。そのろうがわしさは、何事だ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
じつ博士はかせをわざ/\ろうするまでもかつたので、これは古代こだい葬坑さうかうで、横穴よこあな通稱つうしようするもの。調しらべたら全國ぜんこくいたところるかもれぬ。
大牢ろうのあった方のみぞを埋めて、その側の表に面した方へ、新高野山大安楽寺こうぼうさま身延山久遠寺にちれんさまと、村雲別院むらくもさまと、円光大師寺えんこうだいしさまの四ツの寺院おてら建立こんりゅうし、以前もとの表門の口が憲兵屯所とんしょで、ぐるりをとりまいたが
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
鼠(ねずみ)の上の処はうすなり。しかるにこの頃ろうの字を書く人あり。後者は蠟獵臘などの字のつくりにて「ろふ」「れふ」の音なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それを野犬が、向うじゃろうと言ってたが、やはり野犬ですな。掘り出してくわえて河床に持って来たんだ。何かの事情で、犬はその腕をそこに置き去りにしたんだね。
狂い凧 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
(とうとうろうにおれははいった。それでもやっぱり、お日さまは外で照っている。)山男はひとりでこんなことをつぶやいて無理にかなしいのをごまかそうとしました。
山男の四月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いまわが呉は、孫将軍が、父兄の業をうけて、ここに三代、地は六郡の衆を兼ね、兵は精にし、ろう豊山ほうざんあかがねとなし、海を煮て塩となす。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
築山をめぐって覗かれる花畑にはジキタリスの細い頸の花が夢の焔のように冷たくいく筋もゆらめいていた。早出の蚊を食おうとぬるい水にもんどり打つ池の真鯉——なやましくろうたけき六月の夕だ。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
船藏ふなぐらがついちかくつて、安宅丸あたかまる古跡こせきですからな。いや、ういへば、遠目鏡とほめがねつたで……あれ、ごろうじろ——と、河童かつぱ囘向院ゑかうゐん墓原はかばら惡戲いたづらをしてゐます。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)