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樓
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ろう
すると、幸門の上の
樓へ上る、幅の廣い、之も丹を塗つた
梯子が眼についた。
上なら、人がゐたにしても、どうせ
死人ばかりである。
末は
何となる
身ぞ、
兩親ありながら
大目に
見てあらき
詞をかけたる
事も
無く、
樓の
主が
大切がる
樣子も
怪しきに、
聞けば
養女にもあらず
親戚にてはもとより
無く、
姉なる
人が
身賣りの
當時
鑑定に
來たりし
樓の
主が
誘ひにまかせ、
此地に
活計もとむとて
親子三人が
旅衣、たち
出しは
此譯、それより
奧は
何なれや、
今は
寮のあづかりをして
母は
遊女の
仕立物、
父は
小格子の
書記に
成りぬ