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ろう
ふりがな文庫
“
﨟
(
ろう
)” の例文
時鳥
(
ほととぎす
)
啼くや五尺の
菖蒲
(
あやめ
)
草を一杯に
刺繍
(
ぬいと
)
った振り袖に夜目にも
著
(
しる
)
き錦の帯をふっくりと結んだその姿は、気高く美しく
﨟
(
ろう
)
たけて見える。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして再び
身慄
(
みぶる
)
いに襲われた。なぜならば、
﨟
(
ろう
)
やかに化けた
女狐
(
めぎつね
)
のように——草の根に
顫
(
おのの
)
いていた女は、野で見るには、余りに美しい。
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髪の毛のかかり具合から、姿、形まで、何ともみやびやかで
﨟
(
ろう
)
たけた物腰は、とてもこの世の人とは思えぬような美しさである。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
といいて
頭
(
こうべ
)
を傾けぬ。ちかまさりせる
面
(
おもて
)
けだかく、眉あざやかに、瞳すずしく、鼻やや高く、唇の
紅
(
くれない
)
なる、額つき頬のあたり
﨟
(
ろう
)
たけたり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
﨟
(
ろう
)
たけた、ほんとうに、この世のものとも思われぬようなつややかな顔を空へ向け、ぐったりと、死んだようになって、眼を閉じていた。
墓地展望亭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
疋田鹿
(
ひったか
)
の
子
(
こ
)
の
長襦袢
(
ながじゅばん
)
に、麻の葉の
扱帯
(
しごき
)
を締めて、大きい島田を、少し重く傾げた、
﨟
(
ろう
)
たけた姿は、ガラッ八が見馴れた種類の女ではありません。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
﨟
(
ろう
)
たけた姫君か何かが、相馬の古御所といったような中で、ひとり琴を弾じているような姿にしか見えないから、竜之助は、なんだか夢のうちに
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
浪路は、この
﨟
(
ろう
)
たける、しとやかな
優人
(
わざおぎ
)
と、世情にうとく、色黒な小柄な貴人とを思い比べて見ることさえ、苦しく、やるせなく、心恥かしかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
愛している妻の静子の顔までが、此の
﨟
(
ろう
)
たけた
瑠璃子
(
るりこ
)
夫人の美しい面影のために、
屡々
(
しばしば
)
掻
(
か
)
き消されそうになっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
とそこへ、たくみにガウンを捌いてくる
﨟
(
ろう
)
たけた一人の婦人。みれば、頭上には王冠を戴いている。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
わたしは、昔物語のなかの、なにがしの
御息所
(
みやすどころ
)
などいう
﨟
(
ろう
)
たげな
女君
(
めぎみ
)
に思いくらべていたりした。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
早出の
蚊
(
か
)
を食はうとぬるい水にもんどり打つ池の
真鯉
(
まごい
)
——なやましく
﨟
(
ろう
)
たけき六月の夕だ。
汗
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
﨟
(
ろう
)
たけた貴婦人と見せかけながら、
拳銃
(
ピストル
)
に短剣
二口
(
ふたふり
)
、
莫連女
(
ばくれんおんな
)
の正体を完全に暴露した。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
﨟
(
ろう
)
たけた祖母の白い顔の、額の両端から小さい波がちりちりと起り、顔一めんにその皮膚の波がひろがり、みるみる祖母の顔を
皺
(
しわ
)
だらけにしてしまった。人は死に、皺はにわかに生き、うごく。
玩具
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
中心になるおかみさんがこの家のおかみとして
﨟
(
ろう
)
たけていすぎるのです。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
しかし一度は貴人の別荘とされて、都あたりから、糸毛の
輦
(
くるま
)
に
﨟
(
ろう
)
たけた麗人が、萩を分けて通ったこともありそうな
家造
(
やづく
)
りなのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といひて
頭
(
こうべ
)
を傾けぬ。ちかまさりせる
面
(
おもて
)
けだかく、眉あざやかに、
瞳
(
ひとみ
)
すずしく、鼻やや高く、唇の
紅
(
くれない
)
なる、
額
(
ひたい
)
つき頬のあたり
﨟
(
ろう
)
たけたり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
女は年頃十八あまり、頭には黄金の
烏帽子
(
えぼし
)
を冠ぶり腰に細身の
太刀
(
たち
)
を
佩
(
は
)
き、
萌黄色
(
もえぎいろ
)
の
直垂
(
ひたたれ
)
を着流した
白拍子
(
しらびょうし
)
の
﨟
(
ろう
)
たけた姿である。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
﨟
(
ろう
)
たき眉も、柔かく通った鼻筋も、
円
(
まる
)
い美しい曲線を見せた顎も、死骸という感じを超越して、砕かれた人形の、砕かれ残った美しさを惜しむような
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
又、生捕られた女房たちは、女院、
北政所
(
きたのまんどころ
)
、
﨟
(
ろう
)
の
御所
(
おんかた
)
、大納言
佐局
(
すけのつぼね
)
、
帥佐
(
そつのすけ
)
、治部卿局以下四十三人である。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
が、
幾何
(
いくら
)
強く思い切ろうとしても、白
孔雀
(
くじゃく
)
を見るような、
﨟
(
ろう
)
たけた若き夫人の姿は、彼が思うまいとすればするほど、
愈
(
いよいよ
)
鮮明に彼の眼底を去ろうとはしなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
素地
(
きじ
)
の
﨟
(
ろう
)
たけた官女で、
十二単
(
じゅうにひとえ
)
かなんぞで出たらよかりそうなものを、鬼に撫でられたんでは、入道もあんまりいい心持もしなかったろうけれど、利き目は確実にあったらしい。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
朝な夕なにこの芝生の中の遊歩道を我々のところへ食膳を捧げ持ってくる姿や、時には
﨟
(
ろう
)
たけたロゼリイス姫のお伴などをしながら、ゆらりゆらりと歩を運んでくる姿というものを
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その
﨟
(
ろう
)
たけたすがたに似もやらぬ、武芸のたしなみといい、何とはなしに感じられる、身のまわりの妖気——浪路が、一目見て、いのちもと思い込んだにも、
奇
(
あや
)
しさがある——さては
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
……そのころお
年齢
(
とし
)
は二十八で、
﨟
(
ろう
)
たげなとでも申しましょうか、たいへんに位のあるお顔つきで、おとりなしは
極
(
ご
)
くお優しいのですが、なんとなく寄りつきにくいようなところもあって
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と思いながら、じッと地べたをみつめてゆくと、御方の
﨟
(
ろう
)
やかな姿やお延のあの艶めかしさが、足もとへ
絡
(
から
)
むように
泛
(
う
)
いてくる。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まぎれもないスペイン型、
﨟
(
ろう
)
たけた若い美人である。と、お町うつむいた。メダルへくちびるを触れたのである。いつか
歩
(
あゆ
)
みもとまっている。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お秀の
﨟
(
ろう
)
たけた美しさと、お千勢
母娘
(
おやこ
)
のやり手らしい様子を比べて、平次はもうこれだけの判断をしていたのです。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とばかりありて眼の
前
(
さき
)
にうつくしき顔の
﨟
(
ろう
)
たけたるが
莞爾
(
にっこ
)
とあでやかに笑みたまいしが、そののちは見えざりき。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白河法皇の
女御
(
にょうご
)
で、最後は、
﨟
(
ろう
)
の
御方
(
おんかた
)
と呼ばれる、花山院の
上﨟
(
じょうろう
)
であった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
きっぱりと
繍
(
ぬ
)
わせ、折鶴の紋のついた藤紫の
羽織
(
はおり
)
、
雪駄
(
せった
)
をちゃらつかせて、供の男に、
手土産
(
てみやげ
)
らしい
酒樽
(
たる
)
を持たせ、うつむき勝ちに歩むすがたは、
手嫋女
(
たおやめ
)
にもめずらしい
﨟
(
ろう
)
たけさを持っている。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
心配そうに見張った黒い美しい
眸
(
ひとみ
)
、
象牙彫
(
ぞうげぼり
)
のように気高い鼻、端正な唇、
皎
(
しろ
)
い
艶
(
つや
)
やかな頬、こうした
神々
(
こうごう
)
しい
﨟
(
ろう
)
たけた夫人の顔を見ていると、彼女の嘘、偽りが、夢にもあろうとは思われなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
月夜の踊の手ぶりというのはどうしてこうも
﨟
(
ろう
)
たげなのであろう。
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
恍惚
(
うっとり
)
と父君に
凭
(
もた
)
れかかるようにして、清らかな横顔、
頤
(
あご
)
、頸筋をこちらに
覗
(
のぞ
)
かせているロゼリイス姫の
玲瓏
(
れいろう
)
さ! 白絹の垂れ幕の彼方ながら、透き徹らんばかりに
﨟
(
ろう
)
たけた神々しさ! 何かは知らず
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
……だから、よく絵巻などに見える楠公夫人の
﨟
(
ろう
)
やかな肖像——あの貴夫人めいたおすがたなどは、絵そら事といってよい。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水のように清らかの秋の夜は、しっとりとして
更
(
ふ
)
けて行った。遠くの部屋から鼓の音が、いとも
﨟
(
ろう
)
たけて聞こえて来た。遊女の唄う小唄の声も。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
とばかりありて眼の
前
(
さき
)
にうつくしき顔の
﨟
(
ろう
)
たけたるが
莞爾
(
につこ
)
とあでやかに
笑
(
え
)
みたまひしが、そののちは見えざりき。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お袖はとって二十一、留守の兄彦太郎は二十八、
﨟
(
ろう
)
たく美しく育って貧しさに
虐
(
しいた
)
げられながらも、人などを殺せそうな人柄でないことは平次にもよく判ります。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なんという、
﨟
(
ろう
)
たけた面ざしであろう。
墓地展望亭
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
美しい惑星とは、御方のような女性を指すのではあるまいか、みやびた言葉づかいと云い、品位と云い、また
﨟
(
ろう
)
たけた姿。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤と
菖蒲
(
あやめ
)
をとりあわせた、長い袂の
単衣
(
ひとえ
)
が似合って、
﨟
(
ろう
)
たけてさえ見えるその娘は、とりなすようにそういうように云い、気の毒そうに壮年武士を見た。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
傍
(
はた
)
で
視
(
み
)
ると、渠が目に彩り、心に映した——あの
﨟
(
ろう
)
たけた娘の姿を、そのまま取出して、
巨石
(
おおいし
)
の床に据えた処は、松並木へ店を開いて、藤娘の絵を売るか
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
椎茸髱、
白粉
(
おしろい
)
、笹紅の御守殿に取かこまれ、
許婚
(
いいなずけ
)
の絹姫の
﨟
(
ろう
)
たき姿を見ながら、忠弘は悩みに悩みました。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蔵六のことばを民草のしおらしい真心と聞いたか、
﨟
(
ろう
)
たけた
声音
(
こわね
)
の主は、計ろうてとらせてやるがよいと、内で云った。
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月の光に化粧された、その女の
容貌
(
きりょう
)
が、余りにも美しく余りにも
気高
(
けだか
)
く、あまりにも
﨟
(
ろう
)
たけていたからである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
灯を持って、入口に迎えた娘お筆の、
﨟
(
ろう
)
たけて美しいのを見ると、平次もさすがに二の足を踏みました。
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
姫百合
(
ひめゆり
)
、
姫萩
(
ひめはぎ
)
、
姫紫苑
(
ひめしおん
)
、
姫菊
(
ひめぎく
)
の
﨟
(
ろう
)
たけた
称
(
となえ
)
に対して、スズメの名のつく一列の雑草の中に、このごんごんごまを、私はひそかに「スズメの
蝋燭
(
ろうそく
)
」と称して、内々
贔屓
(
ひいき
)
でいる。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小茶ちゃんに
尾
(
つ
)
いて奥へ通ってゆく彼女の
鄙
(
ひな
)
に稀れな
眉目
(
みめ
)
と、どことなく、
﨟
(
ろう
)
たけているとでもいうか、品のあるすがたに、眼と囁きを送っていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、吟味所の裏木戸が、内から
窃
(
ひそ
)
かに開けられた。つと現われた人影は、どうやらうら若い女らしい。それも
﨟
(
ろう
)
たけた
窈窕
(
ようちょう
)
たる高貴の姫君ではあるまいか。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お秋の
﨟
(
ろう
)
たき美しさをガラッ八は知りすぎているだけに、この頼みを蹴飛ばしかねました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“﨟”の解説
﨟(ろう)とは、日本の宮廷において用いられた年功による序列のこと。
(出典:Wikipedia)
﨟
部首:⾋
16画
“﨟”を含む語句
上﨟
﨟長
下﨟
女﨟
御中﨟
﨟次
中﨟
﨟闌
一﨟
﨟蜜
﨟纈染
﨟纈
﨟次制
﨟丈
﨟々
雪上﨟
簾中上﨟
日下﨟
年﨟
京女﨟
...