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牢
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ろう
ふりがな文庫
“
牢
(
ろう
)” の例文
現に
牢
(
ろう
)
を破ったのさえ、次郎を助けようと思うほかに、一人の弟を見殺しにすると、沙金にわらわれるのを、おそれたからであった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この寄場は
牢
(
ろう
)
ではないと云い、その扱いも牢にいる罪人とは慥かに違うが、いずれにせよ、世間から隔離されるだけの理由があった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今になると残されてよかったので、あの時連れて行かれようものなら、
浦塩
(
うらじお
)
かどこかの
牢
(
ろう
)
で今ごろはこッぴどい目に
遭
(
あ
)
ってる奴さ。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
おじさんが、いま
牢
(
ろう
)
へはいっているんだったら、いいな。そうすると私は、毎日、大得意で、ニュウスをお送りできるのだけれど。
俗天使
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ときにな、わしは今日、あのミーチカの強盗を
牢
(
ろう
)
の中へ打ちこんでやろうかと思ったが、今またどうしたものかと迷っておるのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
「おお!
薊州
(
けいしゅう
)
奉行所の
牢
(
ろう
)
役人。そうだ、そこへおいでなさるのは、たしかあだ名を
病関索
(
びょうかんさく
)
とおっしゃる
牢頭
(
ろうがしら
)
さんじゃございませんか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
牢
(
ろう
)
はどこだ。」みんなは小屋に押し寄せる。丸太なんぞは、マッチのようにへし折られ、あの白象は大へん
瘠
(
や
)
せて小屋を出た。
オツベルと象
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それから忠寛は木小屋に仮に造った座敷
牢
(
ろう
)
へ運ばれた。そこは裏の米倉の隣りで、大きな
竹藪
(
たけやぶ
)
を後にして、
前手
(
まえで
)
には池があった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
役場を
預
(
あず
)
かっている人で、
典獄
(
てんごく
)
(刑務所の役人)と
代理執行官
(
だいりしっこうかん
)
をかねていた人は、わたしたちを
牢
(
ろう
)
に入れることを
好
(
この
)
まなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
もしこの惰性を構成する分子が猛烈であればあるほど、惰性その物も
牢
(
ろう
)
として動かすべからず抜くべからざる傾向を生ずるにきまっている。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その左賢王に打破られた
公孫敖
(
こうそんごう
)
が都に帰り、士卒を多く失って功がなかったとの
廉
(
かど
)
で
牢
(
ろう
)
に
繋
(
つな
)
がれたとき、妙な弁解をした。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
牢
(
ろう
)
やぶりをして、逃げだした怪物ですから、拘置所でも、とくべつの注意をして、もっとも、見はりにつごうのよい
怪奇四十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
男
(
おとこ
)
は、その
鉄
(
てつ
)
の
牢
(
ろう
)
の
中
(
なか
)
では、
自由
(
じゆう
)
に
歩
(
ある
)
くことすらできませんでした。また、
指
(
ゆび
)
を
出
(
だ
)
すにも
出
(
だ
)
されないように、
外部
(
がいぶ
)
は、
金網
(
かなあみ
)
で
張
(
は
)
られていたのでした。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一人の罪のない男がいま
牢
(
ろう
)
に入れられているのだが、その男に負わされた罪の下手人を君は指し示すことができるのだ
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しかし天命が働いてきます。その
牢
(
ろう
)
はこわれかけていましたので、予審判事はシャンマティユーをアラスの県の監獄に移したがいいと思ったのです。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
思えば思うほどなんの楽しみもなんの望みもなき身は
十重二十重
(
とえはたえ
)
黒雲に包まれて、この八畳の間は日影も漏れぬ死囚
牢
(
ろう
)
になりかわりたる
心地
(
ここち
)
すなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そのかわり、ご
牢
(
ろう
)
払いになればまた源之丞どのとやらも情にほだされて、二世かけましょうと、うれしいことばもろともお迎えに参りましょうからね。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「いいえ、それはあなたが、つかまえて、土の
牢
(
ろう
)
に入れてあるひとたちの、においでしょう。」といいました。
ジャックと豆の木
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
人民たちは、エキモスが
牢
(
ろう
)
にとじこめられて、いよいよ今日は島ながしになるんだということを、いつのまにかききだして、たいへんさわぎたっています。
銀の笛と金の毛皮
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それがお
牢
(
ろう
)
にはいってからは、仕事をせずに食べさせていただきます。わたくしはそればかりでも、お
上
(
かみ
)
に対して済まない事をいたしているようでなりませぬ。
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「華族さんだって石炭泥棒にいってとっ
捉
(
つか
)
まれば
牢
(
ろう
)
へ
打
(
ぶ
)
ちこまれる。関さんはおベッカなんか使わない」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今にして
止
(
や
)
むべきにあらざれば、彼は
牢
(
ろう
)
に
牽
(
ひ
)
かるる罪人のごとく
悄々
(
しおしお
)
と
随
(
したが
)
いゆきぬ、常にはほかに訪う人なかりし寡婦が住居の周囲に、今はほとんど人の山を築けり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
「えっ、怪星ガンの住人ですって。それはたいへんだ。いよいよぼくらを
牢
(
ろう
)
へぶちこむか、それとも皆殺しにするために有力な軍隊をひきいて乗りこんできたのでしょうか」
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
爾
(
そ
)
うすると私の
書記
(
かきしる
)
して
置
(
おい
)
たものは外交の機密に
係
(
かか
)
る恐ろしいものである、
若
(
も
)
しこれが分りでもすれば
直
(
す
)
ぐに
牢
(
ろう
)
に
打込
(
ぶちこ
)
まれて首を
斬
(
き
)
られて
仕舞
(
しま
)
うに
違
(
ちが
)
いないと
斯
(
こ
)
う
思
(
おもっ
)
たから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
堕胎
(
だたい
)
をしたものは刑法の罪人だといえば、何の事かもとより分らず、お前巡査に
捕
(
つかま
)
って
牢
(
ろう
)
へ入れられなけりゃならないといえば、また二十五座へ
遁込
(
にげこ
)
んで躍るというであろう
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こうした世の中で、たった一片のパンを盗んだ男が十九年も
牢
(
ろう
)
へはいっている事も妙だ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「いゝえ! いゝえ!
妾
(
わたくし
)
を打ったために、あの方が
牢
(
ろう
)
へ行かれるようなことが、ございましたら、妾は生きては、おりません。お父様! どうぞ、どうぞ、内済にして下さいませ。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
先師のこの言葉に関連したことで、門人の
牢
(
ろう
)
も、こんなことをいった。——
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それで自分は死ぬことができなくて、やがて捕えられて
牢
(
ろう
)
に入れられた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あのひとは、お父さんやまま母の見張りがきびしいもんで、
家
(
うち
)
を抜け出すのは、
牢
(
ろう
)
破りも同様、むずかしいんですよ。(伯父のネクタイを直してやる)伯父さんは、頭も
髯
(
ひげ
)
ももじゃもじゃだなあ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして彼はその記憶を「秘密
牢
(
ろう
)
」と名づけたものの中へ放り込んだ。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
桜痴居士作の「日蓮記」で
日朗
(
にちろう
)
法師と明星天童子を勤め、さらに中幕の「
琵琶
(
びわ
)
の
景清
(
かげきよ
)
」で榛沢六郎をつとめたが、日朗は召捕りの大立廻りに新手をみせ、土の
牢
(
ろう
)
から佐渡の別れまで幕ごとに活動して
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山の
麗
(
うるは
)
しと
謂
(
い
)
ふも、
壌
(
つち
)
の
堆
(
うづたか
)
き者のみ、川の
暢
(
のどけ
)
しと謂ふも、水の
逝
(
ゆ
)
くに過ぎざるを、
牢
(
ろう
)
として抜く可からざる我が半生の
痼疾
(
こしつ
)
は、
争
(
いか
)
で
壌
(
つち
)
と水との
医
(
い
)
すべき者ならん、と
歯牙
(
しが
)
にも掛けず
侮
(
あなど
)
りたりし
己
(
おのれ
)
こそ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それは何より、では両方! しかし
堅固
(
けんご
)
なこの
牢
(
ろう
)
を……」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
始
(
はじめ
)
から
牢
(
ろう
)
やへはいらない様にしてやれませう。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
「あの男を
牢
(
ろう
)
にいれてしまえ。」
忠義者のヨハネス
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
御徒士町
(
おかちまち
)
の叔父の家に、彼は、その日から窮屈な禁足を命ぜられた。六畳間の座敷
牢
(
ろう
)
だ。読書以外、庭へ出るのも、許されない。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでもやっぱり、当時はわたしも借金のことで、
牢
(
ろう
)
へぶち込まれようとしたこともあるんです。相手はネージンのギリシア人でしたよ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
三吉は姉の肉声を通して、暗い座敷
牢
(
ろう
)
の格子に
取縋
(
とりすが
)
った父の狂姿を想像し得るように思った。彼はお種の顔を
熟
(
じっ
)
と眺めて、黙って了った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それから、後日、このどろぼうが再び悪事を試み、そのとき捕えられて、
牢
(
ろう
)
へいれられても、私をうらむことはないであろう。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わたしがその
夜
(
よ
)
嬉しさの余り、笑い続けたのも当然です。今でも、——この
牢
(
ろう
)
の中でも、これが笑わずにいられるでしょうか?
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのとき人殺し兇状で、
伝馬
(
てんま
)
町の
牢
(
ろう
)
に入れられている亭主のことも話したのだろう、六十日ほど経つ今日まで、ずいぶん親切にしてもらった。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
借金
(
しゃっきん
)
のために
牢
(
ろう
)
にはいるのは、おまえが思うほどおそろしいものではない。向こうへ行けばなかなかいい人間がいるよ」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
錠
(
じょう
)
のかかっているのを
役人
(
やくにん
)
たちははずして、
狭
(
せま
)
い
牢
(
ろう
)
の
扉
(
とびら
)
を
開
(
ひら
)
いて
中
(
なか
)
へはいり、くまなく、あたりを
調
(
しら
)
べてみました。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「二、三人呼んで、この女を
牢
(
ろう
)
に連れてってもらいましょう。」それからファンティーヌの方へ向いて言った。「お前は六カ月間牢にはいるんだぞ。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その間際ですらかくのごとく
頑固
(
がんこ
)
であるなら、この頑固は本人にとって
牢
(
ろう
)
として抜くべからざる病気に相違ない。病気なら容易に
矯正
(
きょうせい
)
する事は出来まい。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
親子三人干ぼしになって死ぬよりゃ
牢
(
ろう
)
へはいったほうがましと、せがれに緒を切らして回らしたんでござんす
右門捕物帖:30 闇男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
手紙を読めば分るが、自業自得とはいえ、この男は可哀相なんだ。三千子さんのために
牢
(
ろう
)
にまで入っている。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで
牢
(
ろう
)
に入ってからは、今まで得がたかった食が、ほとんど天から授けられるように、働かずに得られるのに驚いて、生まれてから知らぬ満足を覚えたのである。
高瀬舟
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして、犯人等に自らアピア迄出頭するように命じた。犯人達は男らしく自らアピアへ出て来た。彼等は六ヶ月
禁錮
(
きんこ
)
の宣告を受け、直ぐ
牢
(
ろう
)
に
繋
(
つな
)
がれることになった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
牢
漢検準1級
部首:⽜
7画
“牢”を含む語句
入牢
牢舎
牢獄
大牢
牢問
牢屋
堅牢
座敷牢
牢守
永牢
牢舍
牢固
牢乎
牢格子
地牢
牢屋敷
牢死
地下牢
土牢
水牢
...