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労
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つか
ふりがな文庫
“
労
(
つか
)” の例文
旧字:
勞
「イヤ別に用事ではないが、お前は昼中働いて、
労
(
つか
)
れてもゐる事だから、せめて夜だけでも、おッ母さんに代はらせやうと思つてよ」
小むすめ
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
不潔な人間は一般に怠惰な人間であり、ストーヴのそばに坐りこみ、太陽がその寝姿を照らし、
労
(
つか
)
れもしないのに休息する者である。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
その人のことを書いた本の中に、細君が
酸乳
(
すぢち
)
というものを
製
(
こしら
)
えて、著作で
労
(
つか
)
れた夫に飲ませたというところが有った。それを言出した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
興奮と
煩悶
(
はんもん
)
とに
労
(
つか
)
れた勝平の頭も、四時を打つ時計の音を聴いた後は、
何時
(
いつ
)
しか
朦朧
(
もうろう
)
としてしまって、寝苦しい眠りに落ちていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
今まで愉快であったカナリヤの声が
遽
(
にわか
)
にうるさくなって、それがために朝々寐起きの
労
(
つか
)
れたる頭脳を攪乱せられるようになった。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
気を
労
(
つか
)
えば限りのない程、諸方面に万一の備えが
要
(
い
)
る。それ程に、彼の期待の
対象
(
たいしょう
)
はまだはっきりした意志を表示しないでいる。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
暫
(
しば
)
し
浴後
(
ゆあがり
)
を涼みゐる貫一の側に、お静は
習々
(
そよそよ
)
と
団扇
(
うちは
)
の風を送りゐたりしが、
縁柱
(
えんばしら
)
に
靠
(
もた
)
れて、物をも言はず
労
(
つか
)
れたる彼の気色を
左瞻右視
(
とみかうみ
)
て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
うとうとし、
労
(
つか
)
れきつて目を覚すと、やつぱりいくらも時間はすぎてゐないのです。ねむるためには、数を算えることがいいと言ひますね。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
然し昨夜は可なり
労
(
つか
)
れてゐましたので 何にも書けませんでした。そして今朝御手紙を拝見して私は本当にどうしていゝか分らなくなりました。
書簡 木村荘太宛:(一九一三年六月二四日)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
二人は踏応えのない砂の上で
揉
(
も
)
み合った、康子は微笑しながら見て立っていた、二人は勝負のつかぬ先に
労
(
つか
)
れてしまった。
須磨寺附近
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鶴が休もうとするとまた蝶が嘲弄しながら飛び出す、このように蝶は鶴の背に留まり通しで鶴は少しも休む事ならずついに
労
(
つか
)
れ死んでしもうた。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
雪は
深夜
(
しんや
)
にしたがひてます/\こほり、かれがちからには穴をやぶる事もならず、いでん/\として
終
(
つひ
)
には
性
(
せい
)
を
労
(
つか
)
らす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私は時にはその土手にのぼって、その松の根に腰をかけて足の
労
(
つか
)
れを休めながらあたりを眺めた。槇町で生れた私と同い年ぐらいである女はいった。
日本橋附近
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
労
(
つか
)
れた
振
(
ふり
)
をして修行者が寝て居ると、ある月夜の晩に彦五郎の手下が穴の側へ見張に出て見ると、修行者が居るから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
従って気に入ればいつまでも
逗留
(
とうりゅう
)
するだろう。こっちはこれで四返目だたださえ
大分
(
だいぶ
)
労
(
つか
)
れている。いわんや綱渡りにも劣らざる芸当兼運動をやるのだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その人が
労
(
つか
)
れてしまうとまた他の人を引っぱりだしてやらせる。皆が嫌がると
終
(
しま
)
いには一人で、オフィリヤでもハムレットでも墓掘りでもやってしまう。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
が、富は
界隈
(
かいわい
)
に並ぶ者なく、妻は若くして美くしく、財福艶福が一時に集まったが、半世の奮闘の
労
(
つか
)
れは功成り意満つると共に俄に健康の衰えを来した。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「よろしい、張君、君は残れ、それからラツール、君は
労
(
つか
)
れすぎている、君も残れ、それから玉太郎君、君もだ」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕はその夕がた、あたまの
労
(
つか
)
れを
癒
(
いや
)
しに、井筒屋へ行った。それも、
角
(
かど
)
の立たないようにわざと裏から行った。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
その御様子が、いかにも物ごとに
労
(
つか
)
れ、物あんじに
倦
(
う
)
んで、そして御心配ごとで胸も心も一杯だという風に見えまする。……けれども……(と云いよどむ)
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
実に北海道の夏は、日中は最も炎熱甚しく、依て此厚着にて労働するが為めには実に
労
(
つか
)
るる事多し。且つ畑の
傍
(
かたわら
)
にて
朽木
(
くちき
)
を集めて焼て小虫を散ずるとせり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
更にそこから湧き出した病毒、悪思想が、或は肉体から肉体へ、又は紙から紙へと伝わり拡がって、どれ位現在の英国を悩まし
労
(
つか
)
れさしていることであろう。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
はら、やいの、おう、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。——(汗を流し、いたく
労
(
つか
)
れたる様に手を休めつつ)
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
寤
(
さま
)
させまゐらせんといへるを、赤穴又
頭
(
かしら
)
を
揺
(
ふ
)
りてとどめつも、
更
(
さら
)
に物をもいはでぞある。左門云ふ。既に
九〇
夜を
続
(
つ
)
ぎて
来
(
こ
)
し給ふに、心も
倦
(
う
)
み足も
労
(
つか
)
れ給ふべし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
半死の人を乗せたボートの重みと、
労
(
つか
)
れ切った腕にとったオールは、とかく波にさらわれ
勝
(
がち
)
であった。
おさなき灯台守
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
かねちゃんは、泣きあぐんで、少し気が
労
(
つか
)
れて、火もない
囲炉裏
(
いろり
)
の傍で、まりの温かいむくむくとした毛の中に可愛らしい頬を埋めて、居眠りをしたのであります。
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
シルレル、若うして一友と共に
潜
(
ひそ
)
かに郷関を脱走するや、途中一片の銅銭もなく一ヶのパンもなく
飢
(
うゑ
)
と
労
(
つか
)
れに
如何
(
いかん
)
ともすることなく人里遠き林中に倒れむとしたり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私は勉学に
労
(
つか
)
れた頭を休めるため、桜の若葉を見ようとして、横浜公園の内部へと這入つて行つた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
けれどもお母さんは
労
(
つか
)
れてはいるし、そんな危い物は見るのも嫌いだから、乃公をお父さんに預け、片時も目を離してくれるなと頼んで、御自分だけ宿屋に引取った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ねえさん、わしに少し菓子をくれないか」ボーイ長は
労
(
つか
)
れ切った声でささやくようにいった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
九月は田に立ち
労
(
つか
)
れて、やつれて帰って行くのを、何だそのぼろぼろしたなりはと笑い、春の三月はまた今頃出かけても、食うものなんかもう何も無いのにとひやかすが
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
匪賊
(
ひぞく
)
が処在に蜂起してこれを征討する列強はために奔命に
労
(
つか
)
るる。即ち
沢山
(
たくさん
)
の金のみを要してなんらの得るところがない。
否
(
いな
)
、得る処なきのみならず、
却
(
かえ
)
って
益々
(
ますます
)
損をする。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
つく/″\静かに
思惟
(
しゆゐ
)
すれば、我
憲清
(
のりきよ
)
と呼ばれし頃は、力を文武の道に
労
(
つか
)
らし命を寵辱の
岐
(
ちまた
)
に懸け、
密
(
ひそ
)
かに自ら我をば
負
(
たの
)
み、老病死苦の
免
(
ゆる
)
さぬ身をもて
貪瞋痴毒
(
とんじんちどく
)
の
業
(
ごふ
)
をつくり
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「フロラ、それは夢だつたのだよ、あの物語をあまり熱心に音読した
前夜
(
ゆうべ
)
の
労
(
つか
)
れで——」
鸚鵡のゐる部屋
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
鱒魚はかように瀑布と悪戦苦闘を続けて
労
(
つか
)
れに
憊
(
つか
)
れて、到底瀑布を登ることが出来ぬと断念して、他に上るべき水路を求めている、人間の猿智慧はこんな山間でも悪用されていて
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
と、堀は、さっきから張り詰めていた気のせいで、ぐったりと発熱の
労
(
つか
)
れを感じた。
蛾
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
九時、石造の堅き寝台に横たわった、が昼の
労
(
つか
)
れで、ついうとうとと夢路を辿る。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
先生はよほど
労
(
つか
)
れていらるる様子であるのに、こんな複雑な問題について長話をするのよくないことは知れきっているのであるから、予はここでこの問題についての話は止めてしまった
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
猩猩
(
しやう/″\
)
党は
何処
(
どこ
)
かで飲み倒れて
仕舞
(
しま
)
つたのであらう。𤍠田丸の濡れた
舷梯
(
げんてい
)
を
上
(
のぼ
)
つて空虚な室に一人寝巻に着更へた時はぐつたりと
労
(
つか
)
れて居た。
枕頭
(
ちんとう
)
に武田工学士からの
招待
(
せうだい
)
状が届いて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
自分はいいところを見付けたと喜んで、松の根元の
捨石
(
すていし
)
に
労
(
つか
)
れた腰を
下
(
おろ
)
した。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
父もいい加減読書に
倦
(
う
)
み執筆に
労
(
つか
)
れた頃とて、直ちに筆を
擱
(
お
)
き机を離れ、冬はストーブを囲み、夏はヴェランダに椅子を並べ、打ちくつろいで茶を
啜
(
すす
)
り菓子をつまみながら、順序もなく連絡もなく
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
父もいい加減読書に
倦
(
う
)
み執筆に
労
(
つか
)
れた頃とて、直ちに筆を
擱
(
お
)
き机を離れ、冬はストーブを囲み、夏はヴェランダに椅子を並べ、打ちくつろいで茶を
啜
(
すす
)
り菓子をつまみながら、順序もなく連絡もなく
法窓夜話:01 序
(新字新仮名)
/
穂積重遠
(著)
私達はその男をボートの中に引き上げてみると、それは、ハドソンと云う若い水夫であった。彼はひどく
焼傷
(
やけど
)
をし、ひどく
労
(
つか
)
れていたので、翌朝まで何事が起きたのか彼から聞くことは出来なかった。
グロリア・スコット号
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
鍬
(
くわ
)
を振りあげて、自分の
老齢
(
ろうれい
)
と非力を嘆じたわけだが、ともかく掘った。腕はしびれるように
労
(
つか
)
れ、地に
伏
(
ふ
)
して休息した。隣家の庭の
桧
(
ひのき
)
に火がついて、マッチをすったあとの
軸木
(
じくぎ
)
のように燃え果てる。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
「社会」に
労
(
つか
)
れたファンはそこに一種の心安さを見出すのだ。
思想と風俗
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
これを捉えようとするものは
労
(
つか
)
れるだけです。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
予が
労
(
つか
)
れをいたわりて馳走かぎりなし。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ジヤニイノ 僕はもうすっかり
労
(
つか
)
れた。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
竈
(
かまど
)
の灰や、
歳月
(
さいげつ
)
に
倦
(
う
)
み
労
(
つか
)
れ来て
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
左隊登場 最
労
(
つか
)
れたり。
饑餓陣営:一幕
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
“労”の解説
労(ろう)とは律令制の官人が官職に勤務すること及びその勤務期間を指す。労効(ろうこう)ともいう。また、特定の官職における勤務期間を年労(ねんろう)とも称した。
(出典:Wikipedia)
労
常用漢字
小4
部首:⼒
7画
“労”を含む語句
疲労
労働者
労働
徒労
辛労
労苦
博労
塵労
足労
労力
苦労人
心労
功労
勤労
気苦労
苦労
御苦労
気労
慰労
労症
...