一九三×年のことである。新潟も変つた。雪国の気候の暗さは、真夏の明るい空の下でも、道路や、建築や、行き交ふ人々の表情の中に、なにがなし疲れの翳を澱ませて、ひそんでゐる。さういふ特殊な気候の暗さや、疲れの翳が、もはや殆んど街の表情に見られない …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「吹雪物語」竹村書房、1938(昭和13)年7月20日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約9時間12分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約15時間20分(300文字/分) |