“掻撫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かいな72.7%
かきな27.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見送りもせず、夫人はちょいと根の高い円髷まるまげびんに手をさわって、金蒔絵きんまきえ鼈甲べっこうくしを抜くと、指環ゆびわの宝玉きらりと動いて、後毛を掻撫かいなでた。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されど自慢の頬鬢掻撫かいなづるひまもなく、青黛の跡絶えず鮮かにして、萌黄もえぎ狩衣かりぎぬ摺皮すりかは藺草履ゐざうりなど、よろづ派手やかなる出立いでたちは人目にそれまがうべくもあらず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
箒を堂の縁下えんしたに差置き、御手洗みたらしにて水をすくい、かみ掻撫かきなで、清き半巾ハンケチたもとにし、階段の下に、少時しばしぬかずき拝む。静寂。きりきりきり、はたり。何処どこともなく機織はたおりの音聞こゆ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
食国をすくにとほ御朝廷みかどに、汝等いましらまかりなば、平らけく吾は遊ばむ、手抱たうだきて我は御在いまさむ、天皇すめらがうづの御手みてもち、掻撫かきなでぞぎたまふ、うち撫でぞぎたまふ、かへり来む日あいまむ
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)