つかれ)” の例文
旧字:
啄木、永く都塵に埋もれて、旦暮たんぼ身世しんせい怱忙そうばうに追はれ、意ならずして故郷の風色にそむくうちに、身は塵臭に染み、吟心またつかれをおぼえぬ。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
床間とこのまには百合の花も在らず煌々こうこうたる燈火ともしびの下に座を設け、ぜんを据ゑてかたはら手焙てあぶりを置き、茶器食籠じきろうなど取揃とりそろへて、この一目さすがに旅のつかれを忘るべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
産終うみをはるまでの困苦こんくのために尾鰭をひれそこなやせつかれ、ながれにしたがひてくだり深淵ふかきふちある所にいたればこゝにしづつかれやしなひ、もとのごとく肥太こえふとりてふたゝながれさかのぼる。
すべつかれたる者またおもきおへる者は我に来れ我なんぢらをやすません
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
つかれを忘れて、身はかの雲と軽く、心は水と淡く、こひねがはくは今より如此かくのごとくして我生ををはらんかな
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)