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辭儀
彼方此方と
搜す中、
漸とのことで大きな
無花果の
樹蔭に
臥こんで
居るのを
見つけ
出し、
親父は
恭々しく
近寄つて
丁寧にお
辭儀をして
言ふのには
離るゝは
悲けれど是も
修行なれば決して
御案じ下さるなとて
空々敷も
辭儀をなし一先感應院へ歸り
下男善助に向ひ
明朝早く出立すれば何卒
握飯を
左樣ならばと
挨拶すれば
録之助は
紙づゝみを
頂いて、お
辭儀申す
筈なれど
貴孃のお
手より
下されたのなれば、あり
難く
頂戴して
思ひ
出にしまする