辭儀じぎ)” の例文
新字:辞儀
彼方あつち此方こつちさがす中、やつとのことで大きな無花果いちじく樹蔭こかげこんでるのをつけし、親父おやぢ恭々うや/\しく近寄ちかよつて丁寧ていねいにお辭儀じぎをしてふのには
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はなるゝはかなしけれど是も修行しゆぎやうなれば決して御案おあんじ下さるなとて空々敷そら/″\しく辭儀じぎをなし一先感應院へ歸り下男げなん善助に向ひ明朝あした早く出立すれば何卒握飯にぎりめし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左樣さやうならばと挨拶あいさつすれば録之助ろくのすけかみづゝみをいたゞいて、お辭儀じぎまをはづなれど貴孃あなたのおよりくだされたのなれば、ありがた頂戴ちようだいしておもにしまする
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
駒次郎は、女の子のやうに、少し品を作つてお辭儀じぎをしました。色の白さも、襟の青さも、すそを引く單衣ひとえの長さも、そのまゝ芝居に出て來る二枚目です。
その強ひてしたやうなぎごちないお辭儀じぎにも、氣短かなそれでゐて固苦かたくるしい言葉の調子にも、何かその上にかう云つてゐるやうに思はれるものがあつた。
金太郎が帽子ぼうしをとつてお辭儀じぎをすると、山下先生はを絲のやうにほそくして、春やすみは何日までか訊ねた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
きよ!』女王樣ぢよわうさまするどおほきなこゑまをされました。三にん園丁等えんていらたゞちにき、王樣わうさまと、女王樣ぢちわうさまと、皇子方わうじがたと、それから其他そのたものとに、各々おの/\辭儀じぎをしはじめました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うだ北八きたはち線路せんろわきもり鶯花園あうくわゑんだよ、いた天女てんによ賣藥ばいやく廣告くわうこくだ、そんなものに、見愡みとれるな。おつと、またその古道具屋ふるだうぐやたかさうだぜ、お辭儀じぎをされるとむづヶしいぞ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お湯錢が大人おとな二錢か一錢五厘といふと、私は、たいした經濟觀念の鋭い小娘であつたやうであるが、お膳の前へ坐ると、頂きますとお辭儀じぎをするし、お終ひになると、御馳走さまといつたり
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
辭儀じぎしたあとふことは
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
ぜにやお辭儀じぎの無いとこや
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
持來るに長兵衞是は先刻さつき口止くちどめが併しお氣の毒と笑ひながら豬口ちよくとりさけ辭儀じぎは仕ない者なりおかんよいうち波々なみ/\うけこれより長兵衞長八の兩人は酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しばらくして其男そのをとこ丁寧ていねいにお辭儀じぎて、校長かうちやう至極しごく丁寧ていねいれいをして、そして二人ふたりわかれました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
叔母さんに言はれて、お信乃は泣きじやくり乍ら、素直にお辭儀じぎしました。十三といふにしては、少し柄の大きい方、まだほんの小娘ですが、可愛らしい顏立をして居ります。
『え、なんですか』とあいちやんは丁寧ていねいこたへて、『貴方あなたはこれで五たび辭儀じぎをしましたね?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「かうやつて、かういてるんだぜ、木挽こびき小僧こぞうだぜ。お前樣まへさんはおかみさんだらう、柳屋やなぎやのおかみさんぢやねえか、それねえ、此方こつちでお辭儀じぎをしなけりやならないんだ。ねえ、」
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほかものあはせたやうに四邊あたり見廻みまはし、それから一せいこしひくめてお辭儀じぎをしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
一と思ひに障子を開けると、プンと藥のこもつた臭ひ、中に寢て居るのは、十八九の若い娘ですが、姉に助けられて起直ると、それでも床の上にすわつてお行儀よくお辭儀じぎをするのです。
なし茶碗ちやわんつぎした打鳴うちならし呑ける程にむねに一物ある寶澤はしやくなど致し種々とすゝめける婆は好物かうぶつの酒なれば勸めに隨ひ辭儀じぎもせず呑ければ漸次しだいよひ出て今は正體しやうたいなく醉臥ゑひふしたり寶澤熟々此體このてい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「其處に居る野郎で、——やい三次、此處へ來て挨拶をしな。錢形の親分さんが訊きてえことがあるとよ、——あれ、あんな野郎だ。頬冠ほゝかむりをしたまゝ顎をしやくるのは、手前の辭儀じぎかい」
石川孫三郎は、手を突いてまた眞四角にお辭儀じぎをするのです。