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辭退
遣ひ居て下されよと出すを久八はおし返し
達て
辭退をなしけれども千太郎は
猶ほ
種々に言ひなし
漸々金子を
差置つゝ我が家へこそは歸りけれ
辭退をして
其席へ
顏を
出す
不面目丈は
漸と
免かれた
樣なものゝ、
其晩主人が
何かの
機會につい
自分の
名を
二人に
洩らさないとは
限らなかつた。
引誘納涼に出し歸り
懸船中より
直に吉原の
燈籠を見物せんと
勸めけるに吉之助は
御當地始めての事なれば吉原は
別して
不案内ゆゑ
堅く
辭退此日は
漸々宿へ歸り番頭傳兵衞に此事を
話ければ傳兵衞
首を