“ことわり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コトワリ
語句割合
52.1%
道理23.1%
3.3%
理由3.3%
謝絶3.3%
2.5%
仕誼1.7%
拒絶1.7%
1.7%
1.7%
理趣0.8%
事理0.8%
仔細0.8%
分疏0.8%
理実0.8%
謝罪0.8%
辭退0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
母もこのことわりに折れて承諾の言葉を述べたけれども袖に余る悲しみの涙が我が小児の黒髪をうるおした。その悲しみの思いを歌って
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
見る時は不便心が彌増いやまほどこすことのすきなる故まうけの無も道理ことわりなり依て六右衞門も心配なしいつそ我弟が渡世とせい先買さきがひとなりはぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こんな風に、ことわりなしで外出したためしは三吉に無いことであった。直樹は山の上で一夜を明す積りで出掛けたので、無論夕飯には帰らず、夫婦ぎりで互に黙ったまま食卓にむかって食った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いかなる言葉もてもこれを言い消すことあたわず、大空の星のちたるがごとし、二郎はその理由ことわりのいかんを見ず、ただ光のせぬるを悲しむ。げにこの悲しみや深し。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それまで大事を取つてをりながら、かう一も二も無く奇麗にお謝絶ことわりを受けては、私実に面目めんぼく無くて……あんまくやしうございますわ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「然し、手紙は人にでも見られると面倒ですから、おことわりをします」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たつくちとなへて、此処ここから下の滝の伏樋ふせどいに通ずるよし言伝いいつたへる、……あぶなくはないけれど、其処そこだけはけたがからう、と、……こんな事には気軽な玉江が、つい駆出かけだして仕誼ことわりを言ひに行つたのに
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
八千石の威光を屈し、一度会いたいと礼を尽くし、お招きした時もお拒絶ことわり、にべもない返辞をなさいましたそうで。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひらいてると、約束やくそくどほ一所いつしよかへつもりでゐたが、すこ事情じじやうがあつてさきたなければならないことになつたからとことわりべたすゑに、いづ京都きやうとゆつくりはうといてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしこれをハハコグサといい母子草と書くのははなはよろしくない。人によると母子草とはふるき苗に若葉の添うて生ずれば母子という名もことわりであるなどと唱うるは全く牽強附会の説である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
こゝにこの因果を観じて如是にょぜ本末の理趣ことわり究竟くきょうし、根元こんげんを断証して菩提心に転じ、一宇の伽藍がらんを起して仏智慧ぶつちえ荘儼しょうごんたてまつり、一念称名しょうみょう人天咸供敬にんてんげんくぎょうの浄道場となせる事あり。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かくの如きの物語、六道りくどうちまた娑婆しゃばにあらはし、業報ごっぽう理趣ことわりを眼前に転ず。聞く煩悩即菩提ぼんのうそくぼだい六塵即浄土ろくじんそくじょうどと、呉家祖先の冥福、末代正等正覚まつだいしょうとうしょうがく結縁けちえんまことにかぎりあるべからず。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかれどもかみ和ぎ、しもむつびて、事をあげつらふにかなふときは、すなは事理ことわり自らに通ふ、何事か成らざらむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
満月と自分の身体からだに万一の事がないうちにと仰言るような仔細ことわりで、こちらからお願い申上げまする通りのお金を積んで、満月ことを御身請おみうけなされまして、嵯峨野の奥の御邸おやしきを御造作なされ変えて
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
残念ながら致方が無い、とちやんとお分疏ことわりを言うて、そして私は私の一分いちぶんを立ててから立派に縁を切りたいのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
皇子みこたち共にこたへていはく、理実ことわり灼然いやちこなり。則ち草壁皇子尊づ進みて盟ひていはく、天神あまつかみ地祇くにつかみ、及び天皇すめらみことあきらめたまへ、おのれ兄弟長幼、あはせて十余のみこおのおの異腹ことはらよりづ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「イヤ。悪かった悪かった。冗談云うて悪かった。博多の人間もんなら仁輪加で笑うて片付くが、他国たびの人なら腹の立つのも無理はない。悪かった悪かった。ウチまで来なさい。返済まどうてやるけに。ナア。この通り謝罪ことわり云うけに……」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
引誘さそひ納涼すゞみに出し歸りがけ船中せんちうよりすぐに吉原の燈籠とうろうを見物せんとすゝめけるに吉之助は御當地ごたうちはじめての事なれば吉原はべつして不案内ふあんないゆゑかた辭退ことわり此日は漸々やう/\宿やどへ歸り番頭傳兵衞に此事をはなしければ傳兵衞かうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)