理由ことわり)” の例文
されど人間にありては、汝等のよく知る理由ことわりにもとづき、おもふこととあらはす力とその翼同じからず 七九—八一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
いかなる言葉もてもこれを言い消すことあたわず、大空の星のちたるがごとし、二郎はその理由ことわりのいかんを見ず、ただ光のせぬるを悲しむ。げにこの悲しみや深し。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
決闘で斬られたとか、それとも何か俺自身が原因もとでこうなったのなら諦めもつくが、まるで何の理由ことわりもなしに消え失せてしまったのだ、ただ無くなってしまやがったのだ
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
その理由ことわりがようわかれば、なぜ私が、無辜むこのグレプニツキーをあやめたか、合点がいったであろうのう。私たちが島を去ったのち、見す見すあの者に、支配されるのを口惜しゅう思ったからじゃ。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
二郎が深き悲しみは貴嬢きみがしきりに言い立てたもう理由ことわりのいかんによらで、貴嬢が心にたたえたまいし愛の泉のれし事実の故のみ。この事実は人知れずあめが下にて行なわれしおごそかなる事実なり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)