“あきら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アキラ
語句割合
63.5%
19.7%
断念8.3%
1.3%
斷念1.1%
絶念0.9%
0.6%
諦念0.6%
0.3%
0.3%
(他:21)3.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし規矩男のぶすぶす生燃えになっているような魂を考えると、その母をも、もう少し何とかしてやりたいとあきらめ兼ねた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「有難う存じます、おじさん、どこへ行きましても、運の悪いものは悪いものでございますね、わたしは、もうあきらめました」
証書は風早の手に移りて、遊佐とその妻と彼とむつの目をて子細にこれを点検して、その夢ならざるをあきらめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なるほどその時電車の走っていた所は、悪い景色ではなかったけれども、彼女のことさらにそれを眺めた事はあきらかであった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これさ、爾う喜んでは困る。君達では迚も御当人の嬢様がお気に入らんからね、ア糠喜びも大抵にして断念あきらめなさい。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
断念あきらめたように、何の不足もないらしくさっぱりと言われたので、死なばもろともだ、と私もどっかり腰を落した。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
客 あれは、いまおもえば、僕のさびしいあきらめだった。それが何処かで、あの物語の女のさびしい気もちと触れあっていたのだな……
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
圭介がもうその追究をあきらめたように云うと、彼女には急に夫が自分の心から離れてしまいそうに感ぜられた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
然しあまりに私が素知らぬ振をしてゐるので、さすがに斷念あきらめたものか、昨年あたりからはその事も失くなつてゐた。
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
これでは何方どつち病人びやうにんわからなくなつた。自分じぶん斷念あきらめてをふさいだ。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『いえ、只今の御話を伺へば——別に——私から御願する迄も有ません。御言葉に従つて、絶念あきらめるより外は無いと思ひます。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と、その男は幾らか気味も悪かつたので、一冊だけですつかり絶念あきらめて、また以前もとのやうに墓へ土をかけて置いたさうだ。
黒吉の体は木葉微塵となってしまうことは、火をるよりもあきらかなのだ——なんという恐ろしい仕事であろう。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「しかし、ただ一つあきらかなことがござります」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小川は迷惑だが、もうこうなれば為方しかたがないので、諦念あきらめて話させると云う様子で、上さんの注ぐ酒を飲んでいる。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小川は諦念あきらめて飲んでいる。平山は次第に熱心に傾聴している。上さんは油断なく酒を三人の杯に注いで廻る。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あの一番手近な方法を、残り惜し気にあきらめる事になってしまう。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何だって一旦いったんけがした身体からだですから、そりゃおっしゃらないでも、私の方で気がけます。それにあなたももとと違って、今のような御身分おみぶんでしょう、所詮しょせんかなわないとあきらめても、断められないもんですから、あなた笑っちゃ厭ですよ。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あきらにいさんは裸体はだか縮緬ちりめん腰巻こしまき一つの儘後手うしろでしばられて坐つて居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
見ると、あきらにいさんの白地しろぢの薩摩がすり単衣ひとへすそを両手でつかんだ儘阿母さんは泣いて居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
宗助は銀金具ぎんかなぐの付いた机の抽出ひきだしを開けてしきりに中をしらべ出したが、別に何も見つけ出さないうちに、はたりとあきらめてしまった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
錢形の平次があきらめてゐるほど、その贋金造ひは巧妙かうめうを極めました。
題と云えば、只今島田からお手紙でね、坊主の名ね、正輝にしようとしたが、すこしむずかしいようだというので、二人の若い親が相談してあきらとしたのだそうです。
きのうは三越へ降りたついでに、あきらまさるのためおもちゃを買いました、其は色も何もついていない、ちょいとした積木ですが、二つで十一円何十銭かでした。
近藤はしきりに迫っている。女中が又名刺を持って来た。紹介状が添えてある。大石は紹介状の田中あきらという署名と、小泉純一持参と書いてある処とを見たきりで、封を切らずに下に置いて、女中に言った。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
草木染の山崎あきら氏から手紙をもらった。稲村ヶ崎で義貞の龍神献剣のことなどは捨てて、牡丹の凋落に、高時の母の母情や春渓尼を出したくだりなど何度も読み返したといってくれた。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それにあなたももとちがつて、いまのやうな御身分おみぶんでせう、所詮しよせんかなはないとあきらめても、あきらめられないもんですから、あなたわらつちやいやですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あきらめのつくやうに、あきらめさしてくださいツて、おねがまをした、あの、お返事へんじを、ないでツてますと、前刻さつきくだすつたのが、あれ……ね。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「先日、明良あきらの邸へ参ったとき、十三日の後の月見こそ、一期いちごの折というようなことを申したそうな。なんのことだ」
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
享保十年の春、主水は元服して鉄砲三十ちょう頭に任命され、本知行ほんちぎょう二百石取になり、その年、同藩の物奉行明良あきら重三郎の次女安をめとった。翌年、太郎を生み、つづいてお徳が生れた。
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「前田あきら氏に逢うて、詳しい話をしてみないか」
死までを語る (新字新仮名) / 直木三十五(著)
皇子大津は天渟中原瀛真人あまのぬなかはらおきのまひと天皇(天武天皇)の第三みこなり。容止みかほたかくさかしくて音辞みことばすぐあきらかなり。天命開別あめみことひらかすわけの天皇(天智天皇)の為にめぐまれたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
一斎云、学は自得を貴ぶ。人徒らに目を以て有字の書を読む、故に字にかぎられて、通透することを得ず。さに心を以て無字の書を読むべし。乃ちあきらかに自得あり。
洪川禅師のことども (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
渡津海わたつみ豊旗雲とよはたぐも入日いりひさし今夜こよひ月夜つくよ清明あきらけくこそ 〔巻一・一五〕 天智天皇
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
小説家清岡進の老父あきらの隠宅である。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時分進はまだ駒込こまごめ千駄木町せんだぎちょうにあった老父あきらの家にいて、文学好きの青年らと同人雑誌を刊行していたのであるが、鶴子が離別されると間もなく父の家を去って鎌倉に新家庭をつくった。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
菩提樹ぼだいじゆ下の見証や、ハルラ山洞の光耀や、今一々わづらはしく挙証せざるも、真の見神の、偉大なる信念の根柢たり、又根柢たるべきは了々火よりもあきらかなり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
すると男は、一刻も早く自分が普通の乞食でないのをあきらかにしようとするやうに、
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
最近に出雲いずもの学者朝山あきら氏は、かの地方の新嘗祭が元は旧暦十月であったという説を公表しているが、是も甚だ心もとない新見解の一つで、仮にそういう現実の例が何処どこかに有ったとしても、なお容易にはそれを古来のものと認められない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
けれども、惜しいかな、ほとんど見たままで、別に烹煉ほうれんを加うるということをせずに、無造作にその物その事の見解を作ッてしまうから、おのずから真相を看破あきらめるというには至らずして、ややもすれば浅膚せんぷけんに陥いる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
則ち草壁皇子尊づ進みて盟ひていはく、天神あまつかみ地祇くにつかみ、及び天皇すめらみことあきらめたまへ、おのれ兄弟長幼、あはせて十余のみこおのおの異腹ことはらよりづ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しかも武備はいよいよ強化され——ここに徳川家なる一国は、小国ながらも、領民と領主と、人と物と、さながら一体の強みを確乎かっこあきらかにして来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲の海は、怒濤どとうすがたを起しはじめた。——やがて濃尾のうびの平野はその下からあきらかに見え出してくる。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「文芸と宗教」に出てゐる山崎𪸵あきらの『おせいの上京』は達者ではあるが、またその素質においては濁りはないと思ふが、ややあつけないといふ気がした。
三月の創作 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)