あきら)” の例文
従来これまでに無い難産なんざんで、産のが附いてから三日目みつかめ正午まひる、陰暦六月の暑い日盛ひざかりにひど逆児さかごで生れたのがあきらと云ふおそろしい重瞳ぢゆうどうの児であつた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
なんです、あきらさん、鉛筆なんかくはへて……そんなにおなかいたんですか? それではと……。今日はちよつと六ヶ敷いお話ですから、ぼんやりしてるとわかりませんよ。
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
鄭寧ていねいに云つて再びこたへを促した。阿母さんは未だだまつてる。見ると、あきらにいさんの白地しろぢの薩摩がすり単衣ひとへすそを両手でつかんだ儘阿母さんは泣いて居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
『今行きます、お濱さん。』と甲高かんだかな声で言つて、『あきらにいさん、お濱さんも僕と一緒に伴れてつて上げて頂戴ちやうだい。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)