諦念あきら)” の例文
小川は迷惑だが、もうこうなれば為方しかたがないので、諦念あきらめて話させると云う様子で、上さんの注ぐ酒を飲んでいる。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところで私は年をとると、物ごとの怖ろしい惨めさ、努力などの何の役にも立たぬこと、期待のうつろなこと、——そんなことはもう諦念あきらめてしまっていた。
小川は諦念あきらめて飲んでいる。平山は次第に熱心に傾聴している。上さんは油断なく酒を三人の杯に注いで廻る。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分をば道に疎遠な人だと諦念あきらめ、別に道に親密な人がいるように思って、それを尊敬する人がある。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自分じぶんをばみち疎遠そゑんひとだと諦念あきらめ、べつみち親密しんみつひとがゐるやうにおもつて、それを尊敬そんけいするひとがある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)