辭退じたい)” の例文
新字:辞退
遣ひ居て下されよと出すを久八はおし返したつ辭退じたいをなしけれども千太郎は種々さま/″\に言ひなし漸々やう/\金子を差置さしおきつゝ我が家へこそは歸りけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
辭退じたいをしてそのせきかほ不面目丈ふめんもくだけやつまぬかれたやうなものゝ、そのばん主人しゆじんなにかの機會はずみについ自分じぶん二人ふたりらさないとはかぎらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうして自分じぶん注射器ちうしやきたないからといつて辭退じたいしてしまつた。勘次かんじまたあわてゝ醫者いしやけつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もく辭退じたいすな/\、にはかとみつくらずとも、なんぢこゝろにてしとおもふやうにさへいたせばし」とるところをかたしんじてひとうたがたまはぬは、きみ賢明けんめいなる所以ゆゑんなるべし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
春枝夫人はるえふじんしきりに辭退じたいしてつたが彼男かのをとこも一たんしたこととて仲々なか/\あとへは退かぬ。幾百いくひやくひと益々ます/\拍手はくしゆする。此時このときたちまわたくし横側よこがは倚子ゐすしきりに嘲笑あざわらつてこゑ、それはれい鷲鳥聲がてうごゑ婦人ふじんだ。
あづかりし事又其身も路金ろぎんにとて五十兩の金をもらひしを辭退じたいすれども聞入なければ據ころなく受納めたることまで始終しじうの樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけ折角せつかく好意かうい辭退じたいしないわけかなかつた。其代そのかはりに、失禮しつれいですがと前置まへおきをして、主人しゆじんこの屏風びやうぶれるについて、ほど金額きんがくはらつたかをたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おそる/\「御料理おんれうりくださるだん冥加みやうがあまさふらへども、此中このなかにてたまはるは、ひら御免ごめんくだされたし」とわびしげに申上まをしあぐれば、幼君えうくん、「なになぐさみなり、辭退じたいせず、其中そのなかにて相伴しやうばんせよ」とつてのおほせ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取出とりいだし始て參上仕さんじやうつかまつり内々御聞申度事御座るに付是にてさけさかな御買下おかひくださるべし輕少すこしながら御土産おみやげなりと申故權三も一向に樣子やうす了解わからねば辭退じたいするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
辭退じたいはかまへて無用むようなり
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)