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辭退
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じたい
遣ひ居て下されよと出すを久八はおし返し
達て
辭退をなしけれども千太郎は
猶ほ
種々に言ひなし
漸々金子を
差置つゝ我が家へこそは歸りけれ
辭退をして
其席へ
顏を
出す
不面目丈は
漸と
免かれた
樣なものゝ、
其晩主人が
何かの
機會につい
自分の
名を
二人に
洩らさないとは
限らなかつた。
さうして
自分は
注射器を
持たないからといつて
辭退して
畢つた。
勘次は
又慌てゝ
他の
醫者へ
駈けつけた。
「
杢、
辭退すな/\、
俄に
富は
造らずとも、
汝が
心にて
可しと
思ふやうにさへいたせば
可し」と
觀るところを
固く
信じて
人を
疑ひ
給はぬは、
君が
賢明なる
所以なるべし。
春枝夫人も
頻りに
辭退して
居つたが
彼男も一
旦言ひ
出した
事とて
仲々後へは
退かぬ。
幾百の
人は
益々拍手する。
此時忽ち
私の
横側の
倚子で
頻りに
嘲笑つて
居る
聲、それは
例の
鷲鳥聲の
婦人だ。
預りし事又其身も
路金にとて五十兩の金を
貰ひしを
辭退すれども聞入なければ據ころなく受納めたることまで
始終の樣子を
宗助は
折角の
好意を
辭退しない
譯に
行かなかつた。
其代りに、
失禮ですがと
前置をして、
主人が
此屏風を
手に
入れるに
就て、
何れ
程の
金額を
拂つたかを
尋ねた。
恐る/\「
御料理下さる
段、
冥加身に
餘り
候へども、
此中にて
給はる
儀は、
平に
御免下されたし」と
侘しげに
申上ぐれば、
幼君、「
何も
慰なり、
辭退せず、
其中にて
相伴せよ」と
斷つての
仰。
取出し始て
參上仕つり内々御聞申度事御座るに付是にて
酒と
肴を
御買下さるべし
輕少ながら
御土産なりと申故權三も一向に
樣子了解ねば
辭退するを