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幼君
それより
一同種々申して
渠を
御前にわびたりければ、
幼君ふたゝび
御出座ありて、
籠中の
人に
向はせられ、「
其方さほどまでに
苦しきか」
幼君其時「これにてよきか」と
彼の
者に
尋ねたまへり。「
天晴此上も
無く
候」と
只管に
賞め
稱へつ。
幼君かさねて、「いかに
汝の
心に
協へるか、」
幼君これを
見給ひて、「さても
好き
恰好かな」と
手を
拍ちてのたまへば「なるほど
宜しく
候」と
籠の
中にて
答へたり。