“彼男”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あれ64.3%
かのをとこ14.3%
あのをとこ7.1%
あいつ7.1%
かなた7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『お前さんは、ほんとに、彼男あれを思ってくれるんですか。——真実、右衛門七が可愛いならば、叔父の私だって、考えもあるんだが……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幼君えうくん眞顏まがほにて、「くるしからず、はやつかはせ」とうながたまふ。さては仔細しさいのあることぞと籠中かごのなかひともたらせたり。彼男かのをとこいたこうじ、置處おきどころさまにて、冷汗ひやあせきてぞかしこまりたる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
母と彼男あのをとことの間に、を高く頭の上に載せ、少許すこしづつ籾を振ひ落して居る女、あれは音作の『おかた』(女房)であると話した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
子供の眼——そのくぼんだ小さな眼付は、あの男にそっくりだ。その微笑しているような口元も彼男あいつの口だ。
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
船橋せんけううへから一心いつしん双眼鏡そうがんきやうふねけてつたが、不思議ふしぎだ、わたくし視線しせん彼方かなた視線しせんとがはしなくも衝突しようとつすると、たちま彼男かなた双眼鏡そうがんきやうをかなぐりてゝ、乾顏そしらぬかほよこいた。