彼男あれ)” の例文
『お前さんは、ほんとに、彼男あれを思ってくれるんですか。——真実、右衛門七が可愛いならば、叔父の私だって、考えもあるんだが……』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きやつはいずれころされることになるであろう。磯五自身のためにも、みなのためにも、彼男あれは一日も早く殺したがよい」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「何人です、彼男あれ? ああ、あれですか。マルコルム君というんです。コンプトン・マルコルム君。面白い男ですよ」
消えた花婿 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
19は三週間のあいだ私達が「ほんとに彼男あれだけは私たちが掘り出した宝石ジュエルです」と言い得る、身綺麗みぎれい小気こきの利いた“My Good Man”となることであろう。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
彼男あれとても惡る氣は微塵も無き人なれば、其方の爲よかれとての言葉ならんを、苦にはすまい物、まあ何事の起りにて其やうに腹は立しと例の通り慰めらるゝに、いゑ、否、否
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「じゃ教えてあげよう。彼男あれはね、ル・バングよ」
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
彼男あれだって、内気だが、実はお粂さんが好きでならないのだもの。わしさえ、承知といえば、右衛門七に否やのあろう筈があるものか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしがはぎあはせてかんがへるといままうしやうことるので御座ござります、其子そのこ奧樣おくさまていらつしやるとまをしたのはれはうそでは御座ござりませぬけれど、露顯ろけんしますと彼男あれわたししかられます
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼男あれは、とんでもない邪悪な考えに取りかれておる。うん、立てるとも。
稲生播磨守 (新字新仮名) / 林不忘(著)
洒落氣しやれげなしではられぬはづ勉強家べんきようかにしたは其自狂そのやけからかとおつしやるに、中々なか/\もちまして彼男あれ貴孃あなた自狂やけなどおこすやうなおとこ御座ござりましよか、無常むじやうさとつたので御座ござりますとふに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼男あれだ、俺にゃあもうわかってる!」
うそをおひ、彼男あれうして其樣そのやうことはふ、よしつてからが、にがかほでおしだまつてるべきはづ、いよ/\のうそおつしやれば、さてもなさけないことそのやうわたしこと信仰しんかうしてくたさりませぬは
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)