“憑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
75.0%
7.4%
2.5%
たの1.9%
うつ1.5%
つき1.5%
かか1.1%
つま1.1%
つか0.8%
もた0.6%
ガヽ0.6%
0.6%
0.6%
がか0.4%
たのみ0.4%
0.4%
のりうつ0.4%
カヽ0.4%
かちわた0.2%
0.2%
たのも0.2%
つきもの0.2%
とっ0.2%
とりつ0.2%
ばか0.2%
0.2%
より0.2%
よりかか0.2%
タノ0.2%
タノモ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
眼にも見えないその怪異に取りかれたものは、最初に一種の瘧疾おこりにかかったように、時々にひどい悪寒さむけがして苦しみ悩むのである。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
抽斎は師迷庵の校刻した六朝本りくちょうぼんの如きは、何時なんどきでも毎葉まいよう毎行まいこうの文字の配置に至るまで、くうって思い浮べることが出来たのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と、淵辺の血走ッた眼は咒文じゅもんのように呟いた。何かがり移ったもののごとく、両の膝がしらで、ジリジリ前へすすみ出ながら。
たのみつる君は、此の国にては一一六由縁ゆゑある御方なりしが、人のさかしらにあひてしる所をも失ひ、今は此の野のくまわびしくて住ませ給ふ。
平太郎にも狐が乗りうつって、あんな乱心の体たらくになったのであると、顔をしかめてささやくものが多かった。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どうかしてるぜ、つきものがしたようだ、怪我けがをしはしないか、と深切なのは、うしろを通して立ったまま見送ったそうである。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大体だいたい天狗てんぐはたらきはそうおおきいものではないらしく、普通ふつう人間にんげんかかって小手先こてさきの仕事しごとをするのがなにより得意とくいだともうすことでございます。
などということばもあったが、伊豆の女はなぜその中でないだろうか。——頼朝も時には、そんな煩悩ぼんのうに、頭脳あたまつままれている日もあった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの若いのもおぬしのように、おのが好色心すきごころに目が眩んでの、この婆につからせられた婆娑羅ばさらの大神にさかろうたてや。されば立ち所に神罰を蒙って、瞬く暇に身を
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
知られぬ橋手前の菊菱きくびしおあいにくでござりまするという雪江を二時が三時でもと待ち受けアラと驚く縁の附際つけぎわこちらからのようにもたせた首尾電光石火早いところを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
ガヽりの時々語られた神語の、種族生活に印象の深いものを語り傳へて居る中に、其傳誦の職が、巫覡の間に分化して來た。
ほんの苗木ぢやつたカヘが、コレほどの森になつたものな。コハかつたぞよ。此墓のみタマが、河内安宿部アスカベから石ちに来て居た男に、いた時はなう。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
音声一途にる外ない不文の発想が、どう言ふわけで、当座に消滅しないで、永く保存せられ、文学意識を分化するに到つたのであらう。
神人に神がかりした神の、物語った叙事詩から生れてきたのである。いわば夢語りとも言うべき部分の多い伝えの、世を経て後、筆録せられたものに過ぎない。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
火浣布も火浣紙も火災くわさいそなへにはたのみがたし、いかんとなれば、火にあへともに火となり人ありて火中よりいださゞれば火とともくだけてかたちをうしなふ、たゞはいとならざるのみなり。
慾得ずくばかりでなく、かれは弟子師匠の人情から考えても、久しい馴染なじみの美しい弟子がやがて死霊しりょうり殺されるのかと思うと、あまりの痛ましさに堪えなかった。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この院の夫人への大きな愛が御仏みほとけを動かしたのか、これまで少しも現われてこなかった物怪が、小さい子供にのりうつって来て、大声を出し始めたのと同時に夫人の呼吸いきは通ってきた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
此に就ては、芸州三原ミハラの祭礼に、神は山上より降り来り給ひ、祭りの間おはします家を神主にカヽつて宣らせ給ふと信ずる風習は、甚多くの暗示を含んでゐる。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
子曰く、虎をてうち(徒搏)にし、河をかちわた(徒渉)りて、死すともゆるなきものは、吾くみせざるなり、必ずや事に臨みておそれ謀を好みて成すひとに(与する)なり。(一〇)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
小人しょうじん……小人の浅慮あさはかさ。……仰せのように、いつしか、思いあがっておりました。……その紋太夫の心に乗じて、おそらく魔などがしたものにござりましょう。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
託宣の歌は、どこかに意味不徹底の語があつたり、おほまかなしらべの内に、人を寛けさとたのもしさに導く気分性がある。
ないしは狐狸のつきものから天狗様のたたりまで、聞かしてやろうってえ心意気さ! 何んと豪勢か豪勢か!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ところが、その心理を前提として……、艇長とジーグフリード、ウルリーケとクリームヒルト——という符合にとっつかれることだ。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
死神にでもとりつかれたというのは、ああいうのかも知れません。このごろでは、力をつけて上げても、慰めて上げても駄目です。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
竹刀の先ッぽに、目録の包みを結びつけ、肩にかついでいる恰好かっこうは、狐にばかされた武者修行とでも見えるのか、野良犬が、後ろから、わんわん吠えた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その陰にそっと身を潜めて、葛籠笠を傾け、道中合羽の袖を撥ねて、さっきからされたように、この斬りあいに見入っている人物がある。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
周章あわてゝ顔を背けて後の障子へよりかゝったが、すぐとまた見たくなってそれとなく見るに、自分が向うを見ながら向うが見るようで自分が恥かしく、目も鼻も口もたゞ何だか好い女におもわれて
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
宮殿の上には一人の醜い形をした王がいて、つくえよりかかって罪を決めていた。曾は這うようにして前へ出て往った。王は書類に目をやって、わずかに数行見ると、ひどく怒って言った。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
行疫・凶荒の神と謂はれるすさのをの命をタノむやうになり、而も此に、本縁づける為、天部神の梵名を称へる事にして、牛頭天王、地方によつては、武塔(答。本字)天神などゝ言うた。
見る物すべてにタノモしい心が湧いた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)